骨粗鬆症
骨粗鬆症とは何か
こんにちは、さくら通り整形外科クリニック院長の宇賀治です。今日は骨粗鬆症についてお話しします。骨粗鬆症ってよく聞きますけどどんなものかわかりますか?おじいちゃんおばあちゃん心配ですよね。骨粗鬆症は、骨の密度が低下し、骨がもろくなる病気です。これにより、軽い衝撃でも骨折しやすくなります。特に高齢者に多く見られ、生活習慣や加齢、ホルモンの変化が主な原因です。
骨の健康を維持するために、早期の予防と適切な治療が重要です。ホルモンの低下が一番強く働くのですが、女性は閉経するとエストロゲンというホルモンが出なくなってしまうので、骨密度は低下してしまいます。これは骨を壊す細胞である破骨細胞という細胞がエストロゲンで抑制されていたものが、その抑制がなくなってしまうのが原因ですね。そのため女性に圧倒的に多いのが骨粗鬆症なのです。
骨粗鬆症自体はそんなに怖くないですが、、、一番困るのはちょっとした転倒とか、勢いよく座るとかそれだけのことで腰の骨を折れたり(圧迫骨折)、太ももの付け根を折れたり(大腿骨頸部骨折、大腿骨転子部骨折)してしまう事が問題なのです。これらの骨折はADLという日常生活動作ができなくなったり、QOLという生活の質が著しく落ちてしまう事が問題なのです。
私の祖母も大腿骨頸部骨折という骨折をしてしまって自宅での生活がやりづらくなってしまったという経験があります。大好きだった祖母が病院から帰りたい家になかなか帰れないっていうのは子供ながらになかなか辛いものがありました。
そのため、私は骨粗鬆症を無くしたいと思っています。この動画で少しでも骨粗鬆症からの骨折に困る人が減ることを願っております。
骨粗鬆症の予防と治療、管理
次に、骨粗鬆症の予防と治療と管理についてです。予防には、カルシウムやビタミンDを多く含む食事が効果的です。これに加えて、定期的な運動や日光浴も重要です。これらは骨の健康を保つために不可欠ですからね。
また、定期的な骨密度のチェックも忘れずに、閉経した場合は半年に一回は検査をお勧めしています。早期発見と管理により、骨折のリスクを減らすことができます。
特に手首の骨折(橈骨遠位端骨折)を起こしてしまった人!それは骨粗鬆症の入り口に入っている可能性がありますので、骨密度検査を1度受けることを強くお勧めします!!
また、日光浴はビタミンDの生成にとって非常に重要です。ビタミンDは皮膚が紫外線(UVB)に晒されることで体内で合成されます。適切な日光浴の時間は、年齢、肌の色、季節、地域によって異なりますが、一般的なガイドラインっていう論文を集めてこうしようって決めたものがあるんですが、それによると、、
日光浴の目安
1. 目標
春から秋にかけて
通常、1日15分から30分程度、顔や腕、脚などが露出するように日光に当たることが推奨されます。
冬季
紫外線が弱くなるため、適度な日光浴を心がけることに加え、ビタミンDを多く含む食事やサプリメントを摂取することが重要です。
2. 肌の色による違い
明るい肌の人
日光に短時間当たるだけで十分なビタミンDが生成されます。10〜15分程度でも効果的です。
濃い肌の人
ビタミンDの生成にはより長い時間が必要です。15〜30分、時にはそれ以上の日光浴が推奨されます。
エビデンス
Holick, M. F. (2007)
ビタミンDの生成に必要な日光浴の時間は、地域や季節によって変わるとされています。春から秋にかけて、中緯度地域であれば、15〜30分の日光浴が推奨されます【Holick, M. F. (2007). Vitamin D deficiency. New England Journal of Medicine, 357(3), 266-281.】。
日本の研究
日本では、特に冬季にビタミンD不足が問題となることがあり、日光浴の時間を増やすことや食事からのビタミンD摂取が重要とされています【Nakamura, K., Nashimoto, M., & Yamamoto, M. (2001). Summer/winter differences in the serum 25-hydroxyvitamin D3 and intact PTH levels of elderly Japanese women. International Journal of Vitamin and Nutrition Research, 71(1), 26-29.】。
現代の治療方法とその進展
続いて、骨粗鬆症の治療方法についてです。主にビスフォスフォネート製剤や女性ホルモン製剤、Vit.D製剤がつかわれます。この薬は骨の吸収を抑え、骨の量を増やします。最近では、骨の生成を促すテリパラチドなどの新しい治療薬も開発されています。
これらの薬剤は、重度の骨粗鬆症や他の治療が効果を示さなかった場合に特に有効です。飲み薬であまり骨密度が上がらなかった人はぐんぐん上がるので、おすすめです。しかし、これは注射薬が基本となるので、少し痛みに耐える必要はありますね。
病院に来て打つものと自分で打つものの種類があります。まずは飲み薬から始めてその後注射薬なども検討していくというのが一般的な過程ですね。
しかし、どうしても骨粗鬆症は痛くも痒くもないので途中離脱してしまうことが多いのです。中断すると著しく骨密度が下がるというデータもあるので、一度始めたら辛抱強く頑張りましょう。
治療終了の目安
一般的にはビスフォスフォネート剤を5-10年程度で一度終了したほうがいいという提案がなされていますので、状況に応じて終了したりします。
数値的な目標で言うと若い人の骨に比べて70%を超えたら終了してもいいと判断する事がありますが、飲み薬だけではなかなかここまで持っていくのが難しいなというのが私の印象です。
まとめと予防への呼びかけ
最後にまとめです。骨粗鬆症は完治が難しい病気ですが、適切な予防と治療でその影響を最小限に抑えることができます。予防は若いうちから始めることが大切です。バランスの取れた食事、定期的な運動、そして医師の定期診断を心がけましょう。
これにより、健康な骨を維持し、活動的な生活を送ることができます。骨粗鬆症への理解と対策が、未来の健康を守る鍵となります。
以上、骨粗鬆症についての解説でした。次回も健康に関する情報をお届けします。コメント欄に質問もお待ちしています。では、また次回お会いしましょう!