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子供の足首捻挫|原因・治療・再発予防までを医師が解説

こんな症状があれば、早めに受診してください

  • 足首が大きく腫れていて、押すと激痛がある
  • 体重をかけると痛くて、ほとんど歩けない
  • 受傷時に「ボキッ」「ブチッ」という音が聞こえた
  • 足首の形が変形しているように見える
  • 2〜3日たっても痛みや腫れが引かない

これらは骨折や靭帯断裂の可能性があります。レントゲンに写らない骨折や、お子さん特有の骨端線(成長線)損傷が隠れていることもあるため、自己判断は禁物です。福井市日之出のさくら通り整形外科クリニックでは、お子さんの足首のケガを当日でも診療します。

 

部活や遊びで思いっきり走り回っているときに、お子さんが足首をひねった——保護者の方なら一度は経験するヒヤッとする瞬間です。足首をひねってしまうと、とても痛くて歩きづらくなりますよね。足首の「捻挫(ねんざ)」は、どんな年代の人にも起こりやすいケガですが、成長期の子どもは特に注意が必です。

実は、当院院長の宇賀治修平自身も9歳ごろから何度も足首の捻挫を経験してきました。痛みがおさまるとすぐに運動を再開していたため、成長してからもくり返し捻挫することに。その結果、足首を支える靭帯(じんたい)が完全に切れてしまったり、剥離(はく離)した骨が残ってしまったりと、足の形にも少し影響が出てしまいました。「子どもの捻挫は早めに正しく対応するのが本当に大切だ」この経験こそが、当院が小児スポーツ外傷の診療に力を入れている理由のひとつです。

本記事では、子どもの足首捻挫について①基礎知識/②応急処置/③治療経過/④再発予防の4軸でわかりやすくまとめました。今回「子ども」とは骨端線が閉じるまでの時期を指し、男の子は16歳未満、女の子は15歳未満を目安としています。部活やクラブチームでスポーツをしているお子さん、これから運動を始めようと思っているお子さんと保護者の方に、ぜひ知っておいていただきたい内容です。

子供の足首捻挫とは

「捻挫」とは、足首などの関節をひねった結果、関節を安定させるための靭帯が引っ張られて伸びたり、部分的あるいは完全に切れてしまったりするケガのことです。足首を外側にひねったときに起こりやすく、多くの人が一度は経験するケガといえます。

子どもの場合、大人に比べて骨や靭帯がまだ成長途中にあります。そのため、わずかな力がかかってもケガをしやすく、骨折に至ってしまうことも珍しくありません。しかも、子どもの骨には軟骨(なんこつ)というやわらかい組織が多く含まれており、レントゲン写真で骨折が見えにくい場合があります。「ただの捻挫だと思ったら、実は骨折していた」ということもあるので、痛みや腫れが強い場合は必ず病院で検査を受けましょう。

子どもは大人に比べて痛みに強かったり、ケガをしてもすぐ動きたがったりします。当院でも、痛みが少しおさまっただけですぐに走り回ってしまい、じゅうぶんな回復が終わらないうちに再び足首を痛めてくるお子さんを多く拝見します。こうした悪循環を防ぐためにも、まずは「痛みを甘くみないこと」が大事です。

捻挫の段階と症状の目安

捻挫は症状の重さによって大まかに3段階(グレード)に分けることができます。以下の表は、靭帯の状態と症状の目安をまとめたものです。実際の治療期間は人それぞれ異なりますが、参考にしてみてください。

▲ 軽度・中度・重度で靭帯の状態と治療期間が変わります

捻挫の段階 靭帯の状態 症状の目安 治療期間の目安
軽度 靭帯が少し伸びた状態 軽い痛み、わずかな腫れ、歩けることが多い 1〜2週間
中度 靭帯が部分的に切れた状態 痛みや腫れがはっきり、歩くのがつらい 2〜4週間
重度 靭帯が完全に切れた状態 強い痛みや腫れ、荷重困難(歩行不可)の場合も 4週間以上〜数か月になることも

歩けないほど痛む場合は骨折や重症の捻挫を疑う必要があります。痛みをガマンして部活や運動を続けると、靭帯がボロボロになったり、成長線付近にダメージが入って大人になっても足首が不安定なままになったりするリスクが上がります。

子供の足首捻挫:受診フローチャートに沿って適切な判断を行いましょう。

 

子供の足首捻挫の応急手当て(RICEからPEACE and LOVEへ)

捻挫をしたときには、まず「RICE(ライス)処置」と呼ばれる応急手当を行いましょう。RICEとは、次の英語の頭文字をとったものです。

  • Rest(安静):ケガをした部分をなるべく使わないようにする
  • Ice(冷却):氷などで患部を冷やす
  • Compression(圧迫):包帯やテーピングで適度に圧迫する
  • Elevation(挙上):患部を心臓より高い位置に上げる

▲ 捻挫したらまずはRICE処置(安静・冷却・圧迫・挙上)

この手当てを行うことで、痛みや腫れをおさえ、回復しやすい環境をつくります。近年のスポーツ医学では、RICEに代わるより包括的な考え方として「PEACE and LOVE」(Dubois & Esculier, 2019)が国際的に推奨されています。受傷直後〜数日(PEACEフェーズ)と、その後の回復期(LOVEフェーズ)の2段階で、それぞれやるべきことが整理されています。

▲ PEACE(受傷直後)と LOVE(数日後〜)の2フェーズで考える新しい応急処置

PEACE:受傷直後〜数日(炎症期)にやること

  • Protection(保護):痛みが出る動作を避け、患部を守る
  • Elevation(挙上):患部を心臓より高い位置に上げる
  • Avoid anti-inflammatories(抗炎症薬を避ける):自然な治癒過程を妨げない(※服用が必要かどうかは必ず医師の指示に従ってください)
  • Compression(圧迫):包帯やテーピングで腫れと内出血をおさえる
  • Education(教育):能動的アプローチを学び、不要な検査や受動的治療に頼りすぎない

LOVE:数日後〜(回復期)に積極的に取り入れること

  • Load(適度な負荷):痛みの出ない範囲で少しずつ動かす
  • Optimism(楽観的に):前向きな心持ちが回復スピードを高めると報告されています
  • Vascularisation(血流改善):心拍数を上げる有酸素運動で血流を促進
  • Exercise(運動):可動域・筋力・固有感覚(バランス感覚)を計画的に取り戻す

従来のRICE/POLICEとの大きな違いは、受傷直後の対応だけでなく、その後の回復期に「動かす」「前向きに取り組む」要素を明確に位置づけている点です。長期間ギプスや装具で固定しすぎると筋肉が弱ってしまい、かえって回復が遅れる場合があります。当院では、お子さん一人ひとりの状態に合わせて、PEACE and LOVEの考え方に基づき段階的に治療・リハビリを進めます。

さくら通り整形外科クリニックの小児捻挫診療の特徴

▲ 当院の小児捻挫 競技復帰までのタイムライン

さくら通り整形外科クリニックでは、小児・学童期のスポーツ外傷を年間多数診療しています。お子さんの足首捻挫について、当院では以下の体制で対応しています。

① レントゲンに写らない骨折を見逃さない

お子さんの骨は軟骨が多く、レントゲンだけでは骨折が見えにくいことがあります。当院では超音波(エコー)診断や必要に応じた精査により、見落としのない診断を心がけています。

▶ 当院のMRI・画像診断について

② 理学療法士による段階的リハビリ

RICE/PEACE and LOVEの考え方をベースに、痛みの段階に合わせて足首・体幹・バランス感覚を取り戻す個別リハビリを実施。「動かしすぎ」も「動かさなすぎ」も避け、再発しにくい身体づくりまでサポートします。

▶ リハビリテーション科のご案内

③ 靴・インソールの専門家との連携

石川県の靴屋「NOSAKA」さんの来院日に合わせて、足のサイズ・形を測定し、お子さんの足にフィットする靴選びをアドバイスしています。

▶ 当院と靴のかかわりについて

④ スポーツ復帰までの再発予防プログラム

痛みが取れた後こそ、再発予防のリハビリ期間が重要です。体幹トレーニング、バランス訓練、筋力回復までを段階的に行い、「ケガをする前より強い体」で部活・試合に戻すことを目指します。

▶ スポーツ整形外来のご案内

子供の足首捻挫の予防策

1. 靴選びが大事


子どもの捻挫を防ぐうえで、足に合った靴を選ぶことはとても大切です。靴を買うときは、足の長さだけでなく幅(ワイズ)もしっかり確認しましょう。サイズの合わない靴をはき続けると、足首への負担が増え、捻挫しやすくなるだけでなく、足の成長にも影響が出る可能性があります。

もしサイズ選びがむずかしい場合は、専門店で足のサイズや形を測定してもらうのもおすすめです。当院には石川県の靴屋「NOSAKA」さんも来られており、足に合う靴の選び方を丁寧にアドバイスしてくれます。

2. ストレッチと準備運動
運動前にはストレッチや軽いランニングなどでしっかりウォーミングアップし、筋肉や関節を温めておきましょう。体が冷えた状態でいきなり激しい運動をすると、足首に大きな負担がかかり、捻挫のリスクが高まります。

3. バランス感覚と体幹(たいかん)トレーニング

足首を安定させるためには、バランス感覚や体幹(お腹や背中まわりの筋肉)の強化が重要です。たとえば、片足立ちで何秒キープできるか挑戦したり、バランスボードに乗ってみたりするだけでも効果があります。部活などで忙しくても、すきま時間に続けることで捻挫しにくい足首を育てられます。

4. 捻挫後のリハビリをしっかり

ドラゴンボールのサイヤ人のように「ダメージを受けた後は前よりも強くなる!」という気持ちで、リハビリ期間に体幹や足首の筋力、バランス能力を高めておくのがおすすめです。痛みが取れただけで元の運動強度に戻すと、同じケガをくり返してしまうリスクが高まります。「リハビリ期間=強くなるための時間」と考えて、じっくり体をつくり直しましょう。

子供の足首捻挫の症状と治療時間

捻挫の症状は痛みや腫れ、内出血(うちしゅっけつ)などがあります。軽い場合は数日から1週間ほどで腫れや痛みがおさまることもありますが、歩くのがむずかしいほど痛いときは、靭帯の大きな損傷や骨折が疑われます。こうした場合はまずギプスや装具で2週間ほど足首を固定し、2週間後にもう一度病院で検査を受けます。その後、少しずつ装具を外す時間を増やすなど、段階的に治療を進めます。

日常生活に復帰できるようになるまでおよそ4週間、スポーツに本格的に戻るまでには2か月ほどかかることが多いです。ただし、これはあくまで目安で、回復のスピードは人それぞれです。足首の状況をしっかり診てもらいながら、無理のないペースで治療を続けることが大切です。

院長の宇賀治修平自身、痛みがなくなるとすぐ運動を再開してしまい、靭帯を完全に切ってしまうほどの再発をくり返しました。痛みが消えても靭帯や骨が完全に治っていない可能性があるので、痛みだけを目安にせず、医師のアドバイスに従って復帰の時期を考えるようにしましょう。

動画でも解説しています

今までの内容をまとめてYouTubeにしています。動画も理解がしやすいと思いますので、ご参照ください。


よくあるご質問(Q&A)

Q1. 足首をひねったら、どのタイミングで病院に行くべき?
A1. もし痛みが強く歩きにくい、足首が大きく腫れている、押すと激痛があるといった症状があれば、できるだけ早めに医療機関を受診しましょう。骨折や靭帯の大きな損傷があるかもしれないからです。痛みが軽く、あまり腫れていない場合でも、心配なときは念のため診てもらうと安心です。

Q2. ギプスやサポーターで固定している間、まったく動かさないほうがいいの?
A2. 完全に動かさないと筋力が低下してしまいます。医師や理学療法士の指示のもと、可能な範囲で指先を動かしたり、体のほかの部分を鍛えたりするのが大切です。PEACE and LOVEの考え方では、回復期(LOVEフェーズ)にLoad(適度な負荷)・Exercise(運動)を取り入れることで、ケガをする前より強い体づくりにつなげられるとされています。

Q3. 捻挫をくり返す原因は何?
A3. 靴が合っていなかったり、足首まわりの筋肉や体幹が弱かったり、練習前の準備運動が足りなかったりと、いくつかの理由が考えられます。また、一度捻挫すると関節がゆるくなり、再発しやすくなることもあります。

Q4. リハビリ中にできるトレーニングって具体的にどんなもの?
A4. 片足立ちやつま先立ち、足首の回し運動、バランスボードを使った運動などがあります。また、足首に負担の少ない体幹トレーニングや上半身のトレーニングもおすすめです。痛みや腫れがひどい場合は無理せず、医師のOKをもらってから始めましょう。

Q5. 痛みが完全になくなれば、もう運動しても平気?
A5. 痛みがないからといって靭帯や骨が十分に回復しているとは限りません。医師の診察で「運動を始めても大丈夫」と言われてから、少しずつ運動の強度を上げていきましょう。

Q6. 家でできる捻挫の応急処置は?
A6. まずはRICE処置(安静・冷却・圧迫・挙上)を実践します。氷や保冷剤をタオルでくるんで痛む部分を冷やし、包帯などで軽く圧迫しながら、足首を上げて安静にしましょう。痛みが強い場合や腫れがどんどん大きくなる場合は、早めに病院へ行ってください。

参考文献

  • Dubois B, Esculier JF. Soft-tissue injuries simply need PEACE and LOVE. Br J Sports Med 2020;54:72-73.
  • Bleakley CM, Glasgow P, MacAuley DC. PRICE needs updating, should we call the POLICE? Br J Sports Med 46:220–221, 2012.
  • 日本整形外科学会 公式サイト:https://www.joa.or.jp/

まとめ

足首の捻挫は、子どもから大人までとてもよく起こるケガです。子どもの場合は骨や靭帯がまだ成長途中で、しかも軟骨が多いので、レントゲンで骨折が隠れていることもあります。痛みがあるのに放っておくと、のちのちまで足首の不安定さに悩まされることになるかもしれません。

捻挫をしたら、まずはRICE処置(安静・冷却・圧迫・挙上)を行い、痛みが強いときや腫れが大きいときは早めに病院で検査を受けましょう。最近では、受傷直後〜数日のPEACEフェーズ(保護・挙上・抗炎症薬を避ける・圧迫・教育)と、その後のLOVEフェーズ(適度な負荷・楽観・血流改善・運動)に分けて段階的に対応するPEACE and LOVEの考え方も国際的に推奨されています。ギプスやサポーターでの固定を行う場合でも、筋力を落としすぎない工夫をしながら治療を進めるよう意識しましょう。

また、ケガが治っても安心せず、再発を防ぐためにリハビリをしっかり行うことが重要です。靴選び、ストレッチ、バランス感覚や体幹トレーニングなど、普段からできる予防策もいろいろあります。スポーツを心から楽しむためには、体のケアが欠かせません。

院長の宇賀治修平自身、子どもの頃の捻挫を甘く見たせいで、成長してもずっと足首の痛みと向き合うことになりました。同じように悩む人を増やさないためにも、捻挫を軽視せずに正しい方法でケアを行ってほしいと願っています。今は少しの痛みでも、早期に治療を始めれば意外と早く回復し、さらにリハビリ期間に体幹やバランス能力を高めることで、ケガをする前より強い体づくりも可能です。

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