変形性膝関節症とは

変形性膝関節症(へんけいせい ひざ かんせつしょう)は、膝の中にある「軟骨(なんこつ)」が長年の使用ですり減り、骨と骨が直接ぶつかることで痛みや腫れが起こる病気です。

年齢を重ねるほど多くなる病気で、日本では中高年の女性を中心に約2,500万人がかかっていると言われています。

「歳のせいだから仕方ない」と諦めてしまう方も多いのですが、早めに対処すれば進行を遅らせ、痛みをやわらげることができます。

このページでわかること

  • ご自身の膝が「変形性膝関節症の疑いがあるか」のセルフチェック
  • 進行の段階ごとの症状と、当院での検査方法
  • 保存療法から最新の再生医療まで、治療の選択肢
  • ご自宅でできるセルフケアと予防のポイント

膝の構造とすり減りの仕組み

膝関節は、太もも側の骨(大腿骨/だいたいこつ)・すね側の骨(脛骨/けいこつ)・お皿の骨(膝蓋骨/しつがいこつ)の3つの骨から成り立っています。

骨と骨の間には「軟骨」というクッションがあり、歩いたりしゃがんだりするときの衝撃を吸収しています。

この軟骨がすり減ると、骨同士が直接こすれ合うようになり、痛み・炎症・腫れが起こります。これが変形性膝関節症です。

変形性膝関節症のセルフチェック

 

ひとつでも当てはまる項目があれば、変形性膝関節症の可能性があります。3つ以上当てはまる方は、早めの受診をおすすめします。

こんな方はすぐに受診を

  • 膝が腫れて熱を持ち、歩けないほど痛い
  • 転倒したあとから膝の痛みが続いている
  • 夜眠れないほどの痛みがある
  • 市販の湿布や鎮痛薬で改善しない状態が2週間以上続いている

進行ステージ別の症状

初期

朝のこわばり、動き始めの痛み、長く歩いた後の違和感が現れます。少し休めば回復するため、見過ごされやすい段階です。

中期

正座・しゃがみ込みが困難になり、階段の昇り降りで痛みが出てきます。膝に水がたまることもあり、O脚が目立ち始めます。外出や運動を控えるようになる段階です。

末期

安静にしていても痛み、夜間痛が出ることがあります。歩行困難となり、膝の変形が顕著になります。買い物・通勤・家事に大きな支障が出ます。

初期のうちに治療を始めれば、運動療法やリハビリだけでも症状が大きく改善することがあります。「年だから」と我慢せず、早めにご相談ください。

変形性膝関節症の原因

原因は大きく「一次性(明らかな原因がない)」と「二次性(病気やケガなどはっきりした原因がある)」の2つに分けられます。日本人の患者さんの多くは一次性です。

一次性(加齢・体質などによるもの)

  • 加齢による軟骨のすり減り
  • 肥満(普通に歩くだけで膝には体重の約7倍の力がかかります)
  • 脚の形(O脚・X脚など下肢のアライメント)
  • 膝に負担のかかる仕事(立ち仕事・重労働)
  • 性別(女性の方が男性よりも発症しやすい)
  • 遺伝・生活環境

二次性(病気・ケガが原因のもの)

過去の外傷

靭帯損傷(前十字靭帯損傷など)、半月板損傷、骨折

関節の病気

関節リウマチ、化膿性関節炎などの炎症性疾患

骨や軟骨の病気

大腿骨内顆骨壊死、骨軟骨腫症など

変形性膝関節症の検査・診断

当院では、患者さんの状態を正確に把握するため、以下の検査を組み合わせて診断します。

①問診・触診

いつから・どこが・どんなふうに痛むかを丁寧にお聞きします。膝の動きや腫れ、歩き方なども確認します。

②レントゲン検査(X線撮影)

骨と骨の隙間(関節裂隙)の狭まりや、骨の変形・骨棘(こつきょく)の有無を確認します。

③MRI検査

レントゲンでは見えない軟骨や半月板、靭帯の状態を詳しく確認できる検査です。

当院はMRIを院内に完備しているため、予約に空きがある場合は当日中にMRI検査を受けることができます。「診察→検査→結果説明」が一日で完結することもあります。

④関節穿刺・血液検査(必要な場合のみ)

炎症が強い場合や、関節リウマチ・偽痛風(ぎつうふう)など他の病気との区別が必要な場合に行います。

変形性膝関節症の治療法

変形性膝関節症の治療は、いきなり手術ではなく、まずは身体への負担が少ない「保存療法」から始めるのが基本です。当院では患者さんの症状とライフスタイルに合わせて、「保存療法 → 再生医療 → 手術療法」という段階的な選択肢の中から、最適な治療をご提案します。

【1】保存療法(手術をしない治療)

運動療法(リハビリテーション)

理学療法士が一人ひとりの状態に合わせて、太もも前面の筋肉(大腿四頭筋)を鍛えるトレーニングや、膝の曲げ伸ばしのストレッチを指導します。

薬物療法

  • 内服薬:痛み・炎症を抑える消炎鎮痛薬(NSAIDs)など
  • 外用薬:湿布・塗り薬で痛みのある部位に直接アプローチ
  • 関節内注射:ヒアルロン酸注射、ステロイド注射など

【2】再生医療(保存療法と手術の中間)

「ヒアルロン酸では効かないが、手術はまだ受けたくない」――そんな方のための選択肢として、当院では再生医療を導入しています。

  • PRP療法:ご自身の血液から取り出した成長因子を膝に注射する治療
  • エクソソーム療法:細胞間の情報伝達物質を活用した最新の治療法

こんな方におすすめ

  • ヒアルロン酸注射を続けても痛みが取れない方
  • 慢性的な膝の痛みが続いている方
  • 手術には抵抗があるが、現状を改善したい方
  • 最新の治療を検討している方

詳しくは「PRP療法・エクソソーム注射」のページをご覧ください。

【3】手術療法

保存療法・再生医療を行っても改善しない場合、または変形が進行している場合は、提携医療機関と連携して手術療法を検討します。

  • 人工膝関節置換術(じんこう ひざ かんせつ ちかんじゅつ):傷んだ関節を人工関節に置き換える
  • 高位脛骨骨切り術(こういけいこつ こつきりじゅつ):すねの骨を切って脚のラインを矯正する

変形性膝関節症の予防とセルフケア

変形性膝関節症の予防と進行予防には「膝を支える筋肉を維持すること」と「膝への負担を減らすこと」が大切です。

おすすめのトレーニング・ストレッチ

  • 大腿四頭筋トレーニング:椅子に座り、片脚をゆっくり伸ばして5秒キープを左右10回ずつ
  • 膝の曲げ伸ばしストレッチ:仰向けで膝を抱え、ゆっくり胸に引き寄せる
  • ウォーキング:1日20〜30分、痛みが出ない範囲で

日常生活で心がけたい4つのこと

  • 正座を避け、テーブルと椅子の生活に切り替える
  • 肥満気味の方は無理のない範囲で減量する
  • 膝をエアコンで冷やさない(夏場でも膝掛けを活用)
  • 洋式トイレを使う(和式は膝に大きな負担)

理学療法士による個別リハビリでは、患者さんお一人おひとりの体力・痛みの程度に合わせてプログラムを組み立てます。「自分でやっても続かない」「正しいやり方がわからない」という方は、ぜひご相談ください。

ご来院のご案内

膝の痛みは「我慢するもの」ではありません。気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。

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    • 初診の方へ:保険証・お薬手帳をお持ちください