
踵の骨折って?
かかとは、体の重さを一番最初に受け止めるとても大事な部分です。歩くとき、走るとき、ジャンプするとき──すべての動きでかかとが土台の役目をしています。そのかかとの骨(踵骨:しょうこつ)が折れてしまうケガが 「踵骨骨折(しょうこつこっせつ)」です。
踵骨骨折は、足のケガの中でも治るまで時間がかかりやすいことで知られています。なぜなら、踵骨は“立つ・歩く”という動作のすべてで圧力を受け続けるからです。


どうして踵骨が折れるの?
最も多い原因は高いところから落ちたときの衝撃です。例えば
・雪かき中に脚立から落ちる
・バスケットボールで高くジャンプして着地を失敗・階段を踏み外す
・バイクや自転車事故
などで、かかとに強い力が一気に伝わり、骨がつぶれるように折れてしまいます。
踵骨は立体的で“すり鉢のような形”をしているため、強い衝撃で中が押しつぶされる「粉砕骨折」になりやすいのが特徴です。


どんな症状がでるの?
・かかとが大きく腫れる
・赤くなる、内出血(青あざ)が広がる
・立つと激痛が走る
・歩くことがほぼできない
・足首が動かしにくい
・かかとの形が変わって見えることもある
特に「立てない・歩けない」という状態は、ただの打撲では起こりにくいため、骨折を疑うサインになります。


どうやって診断するの?検査は痛い?
病院ではまず レントゲンを撮りますしかし踵骨は複雑な形をしているため、レントゲンだけでは詳しい状態がわからないことがあります。そのため、多くの整形外科クリニックでは次の検査を行います。
CT検査(断層撮影)
骨のつぶれ方、関節まで損傷が及んでいるかを詳しくチェックを行います。検査自体は痛みを伴いません。CTで関節面が大きく壊れている場合は、治療の内容が変わってきます。


治療はどうするの?手術になる人・ならない人
踵骨骨折の治療は 「手術」か「保存療法(手術なし)」の2つに分かれます。
手術をしない場合(保存療法)
・骨のズレが少ない
・関節の形が保たれている
この場合はギプスや専用ブーツで固定し、体重をかけずに治療します。

手術が必要な場合
・骨が大きくつぶれている
・関節面が壊れている
・かかとの形が変わってしまっている
このようなときは、骨を持ち上げて金属プレートやネジで固定し、関節の形を元に戻す手術を行います。
手術をするかどうかは、将来の歩行能力・痛みの残り具合に大きく影響するため、慎重に判断します。


治るまでどれくらいかかる?
踵骨骨折は、足の骨折の中でも“治るのに時間がかかるケガ”です。目安としては、
・骨がくっつく:8〜12週間
・運動復帰:3〜6ヶ月
・仕事復帰(立ち仕事):2〜3ヶ月以上
特に立ち仕事の方は、痛みの残りやすさから復帰まで時間が必要になることがあります。長引く理由としては
・かかとは常に体重がかかる
・血流が少なく治りがゆっくり
・関節の変形が残りやすい
といった要素があります。


リハビリはなぜ必要?いつから始める?
踵骨骨折では、治療以上にリハビリがとても大切です。理由はシンプルで、ギプスや固定を続けると 足首・かかとの動きが固くなりやすいためです。
リハビリはいつスタート?
手術していない場合:2〜3週間後から動きを出す練習
手術した場合:傷の状態によって1〜3週間後
※ 体重をかける練習(荷重)は、骨の治り具合を見ながら6〜10週目くらいから始まることが多いです。
どんなリハビリをするの?
・足首の曲げ伸ばし
・かかとの左右の動き
・足裏の筋トレ
・ふくらはぎストレッチ
・バランス訓練
・歩き方の練習
踵骨は地面に最初に触れるため、リハビリの質によって“その後の歩行能力”が大きく変わります。


後遺症は残る?可能性のある症状
踵骨骨折は治療に時間がかかり、後遺症が出やすい骨折のひとつです。もちろん適切に治療すれば日常生活に戻れますが、以下の症状は知っておくと安心です。
よくある後遺症
・かかとの痛みが続く(慢性疼痛)
・足首や距骨下関節の動きがかたい
・足裏のしびれ(骨折時に神経が圧迫されるため)
・歩くときに内側・外側に傾きやすい
・疲れやすい、長時間歩けない
特に注意する後遺症:距骨下関節痛
踵骨は“距骨下関節(きょこつかかんせつ)”という足の中の重要な関節とつながっています。骨折でここが壊れると、後から 関節の変形(変形性関節症)が進み 痛みが続くことがあります。
必要に応じて、痛み止め、注射、インソールなどで調整します。


日常で気をつけること:再発予防と回復を早めるコツ
体重コントロール
かかとに最も負担をかけるのは体重です。体重が1kg増えると、歩くときには3〜4kg分の負担になると言われています。
クッション性の高い靴を選ぶ
特にかかと部分にゲルやエアが入ったモデルがおすすめ。
インソール(足底板)を使う
かかとの傾きを補正し、再び痛みが出るのを防ぎます。これは整形外科クリニックで作成するものが最も効果的です。
ジャンプ系のスポーツはしばらく休む
バスケ・バレーなどは復帰が早すぎると再負傷のリスクがあります。
ふくらはぎの硬さを取る
下腿三頭筋が硬いと、衝撃がかかとに集中しやすくなります。


仕事・部活への復帰時期の目安
立ち仕事
早い人で2ヶ月、長いと4ヶ月以上かかります。
デスクワーク
痛みが強くなければ 2〜3週間で復帰可能。
運動
ランニング:3〜4ヶ月
バスケット・バレー:4〜6ヶ月
サッカー(ダッシュや当たりが強いスポーツ):5〜7ヶ月
※ あくまで目安であり、骨の治り方で変わります。


よくある質問(Q&A)

Q1|踵骨骨折は手術をしないと治りませんか?

A:手術しなくても治るケースは多いです。骨のズレが大きい場合のみ、将来の痛みを避けるために手術を選択します。関節の形が保たれているかが判断ポイントです。

Q2|ギプス中に動かしたら悪化しますか?

A:体重をかけるのはNGですが、足指や膝を軽く動かすのはOK です。むしろ動かさないと筋肉が落ちて治りが遅くなります。

Q3|痛みが全然ないから、もう走っていいですか

A:痛みだけでは判断できません。
CTの治り具合や、かかとの形が戻っているかが大事です。
独断で走ると再骨折のリスクがあります。

Q4|後遺症は必ず残りますか?

A:必ず残るわけではありません。ただし、他の足の骨折より後遺症が出やすいのは事実です。リハビリやインソールを適切に行えば、日常生活に支障なく生活できる方がほとんどです。

Q5|子どもが踵骨骨折をしました。大人より治りは早い?

A:子どものほうが血流が良く、治りは早いです。
成長期では2〜3ヶ月で運動復帰できることもあります。

まとめ 踵骨骨折は「治療+リハビリ」で未来が決まる
・特に関節が壊れたタイプは手術になることがある
・リハビリをどれだけ丁寧にやるかで「歩きやすさ」が大きく変わる
・インソールや体重管理も大事後遺症が残ることもあるため、早めの治療と専門家のフォローが必要
※かかとは“体の土台ここをしっかり整えておくことが、将来の歩きやすさにつながります。







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