体外衝撃波療法
体外衝撃波療法の概要
体外衝撃波療法(Extracorporeal Shock Wave Therapy, ESWT)は、主に腱や筋肉、骨に関連する疾患の治療に使用される手術ではない治療方法です。この治療では、衝撃波が痛みの原因となる組織に照射されることで、炎症や血行不良の改善、そして自然治癒力の活性化を目指します。以下に、要点をまとめてみました。
治療方法
体外衝撃波療法は非侵襲的つまり切ったりする必要はなく、手術用に切開を加えたり局所麻酔や全身麻酔は必要ありません。衝撃波は特殊な機械を通して体表から発生させ、治療対象部位に直接照射されます。衝撃波を直接傷んでいる部位に送ることとなります。局所麻酔は不要でありますが、治療中の痛みは最小限に抑えられています。
適応症状
体外衝撃波療法は、以下のような症状や疾患に対して効果的とされています。
- 腱鞘炎(テニスエルボー、ゴルファーズエルボーなど)
- 踵骨棘(足底筋膜炎)
- 腱の炎症(アキレス腱炎など)
- 骨折の遅延癒合や癒合不全
- 骨の疲労骨折(脛骨ストレス症候群など)
治療の目的
体外衝撃波療法の主な目的は、以下の通りです。
- 痛みの緩和
- 炎症の軽減
- 血行の改善
- 組織の再生と修復の促進
- 機能回復の促進
治療の流れ
治療前に、患者さんは問診に診察、画像診断(例:X線や超音波検査、MRI)を受けることで、治療の適応や、やってはいけない状態ではないかが確認されます。治療中は、患者さまはリラックスしてうつ伏せ、もしくは仰向けになり、衝撃波が照射されます。衝撃波は、周囲の正常な組織には全く影響を与えず、患部に集中して作用することができます。治療時間は症状や個人差により異なりますが、一般的には15分から30分程度です。
治療回数と期間
体外衝撃波療法の効果は個人差がありますが、通常は数回の治療で効果が現れ始めます。患者さんの状態や治療の進行状況に応じて、治療回数や期間が調整させていただきます。一般的には、1週間から2週間に1回のペースで治療が行われ、合計3回から4回程度を目安とさせていただいています。
副作用と注意点
体外衝撃波療法は他の治療に比べ、非侵襲的(切開、麻酔が不要)で安全性が高い治療方法ですが、まれに次に示すような副作用が発生することがあります。
- 軽度の痛みや腫れ
- 皮下出血や打撲
治療後は、数日間は激しい運動や負荷のかかる活動を避けることをお願いしております。また、副作用が続く場合や新たな症状が現れた場合は、速やかに当院までご相談ください。適切に対処させていただきます。
体外衝撃波療法の効果
治療効果は個人差があり、すぐに改善が見られる方もいれば、数回の治療後に徐々に効果が現れる方もいます。総合的な評価や患者さんの満足度から、体外衝撃波療法は非常に効果的であるとされていますが、必ずしもすべての患者さんに効果があるわけではありません。そのため、治療効果が不十分な場合は、当院と相談させていただき、他の治療法(注射や手術など)やリハビリテーションの導入を検討させていただきますので、遠慮なくご相談ください。
体外衝撃波療法は、非侵襲的で安全性が高く、多くの整形外科疾患に効果が期待される治療方法です。しかし、適切な治療計画や注意点を把握し、医師の指示に従って治療を進めることが、より良い結果を得るために非常に重要です。患者さま自身が症状や治療について理解していただき、適切なケアやリハビリテーションを行うことで、体外衝撃波療法の効果を最大限に引き出すことが可能となります。
保険適用について
体外衝撃波療法は、治療対象や症状によっては、健康保険が適用される場合があります。唯一適応となるのは、足の裏が痛くなる足底腱膜炎という病気だけです。しかし、腱付着部炎や疲労骨折の治療促進などにも効果が報告されており、多くの病院で行われていますので、お困りの方には挑戦していただく価値は十分にあると考えています。不安などもあると思いますので、お気軽に相談いただければと思います。
体外衝撃波療法と他の治療法との併用
体外衝撃波療法は、他の治療法と併用することで、より効果的な治療を行うことが可能です。例えば、理学療法(運動器リハビリテーション)、物理療法、矯正器具、薬物療法、ストレッチなど、患者さんの症状や状態に応じて、最適な治療計画を立てさせていただきます。当院医師と理学療法士と相談し、効果的な治療法の組み合わせを検討してみましょう。一緒に治療していきましょう。
予防策
体外衝撃波療法を受けることで症状が改善された後も、再発防止のために日常生活での予防策は非常に重要です。適度な運動やストレッチ、正しい姿勢や動作の習慣化、適切な休息、睡眠や十分な栄養の摂取など、身体に負担をかけすぎない生活を心掛けましょう。また、症状が再発した場合は、早期に相談いただくことが重要と考えております。
以上の説明を通して、体外衝撃波療法の概要、治療の流れ、適応症状、副作用、注意点、保険適用について理解が深まったことと思います。治療を受ける際には、医師と理学療法士と十分にコミュニケーションをとり、適切なケアとフォローアップを行うことで、より良い治療結果を得ることができます。また、治療後も予防策を実践し、健康的な生活を維持することが、病気の再発を防ぎ、長期的な健康維持へとつながります。
まとめ
体外衝撃波療法は、非侵襲的で安全性が高い治療法であり、適切に行われれば多くの整形外科疾患に効果が期待されます。しかし、治療効果は個人差があり、必ずしもすべての患者さんに効果があるわけではありません。そのため、治療効果が不十分な場合は、相談いただき、他の治療法やリハビリテーションの導入を検討することが重要です。
最後に、体外衝撃波療法を受けることを検討している患者さまは、まずは当院と信頼関係を結んでいただくことが重要です。まずは医師や理学療法士に相談いただくことで、信頼関係を構築できればと思います。患者さまにはより安心して治療を受けていただき、症状の改善や健康維持に役立てていただければと考えております。