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さくら通り整形外科クリニックと靴について

当院では整形外科クリニックではありますが、足の悩みを持っている方は靴の悩みを持っておられることから靴屋さんとも提携して治療を行っております。
主に二つの靴屋さんと協力をしていますのでそれを紹介したいと思います。
NOSAKA
長尾靴製作所

①NOSAKA

NOSAKAさんは石川県、富山県、大阪府そして奈良県に靴屋を展開されています。私自身こちらの靴を愛用しており、靴の魅力に気付かされた靴屋さんでもあります。「靴を通してお客様の役に立つこと」を信念として掲げておられ、謙虚さすら感じます。現在奇数週の水曜日に当院にお越しいただき、一緒に診察をする予定をしています。

皆さんはご自身の足のサイズを本当にわかっていますでしょうか?

足のサイズといっても一般的に知られているのは足長と言われる26cmといった足の爪先から踵までの長さだと思います。それだけでは本当に自分の足にあった靴を選ぶことは難しいです。NOSAKAでは足長だけでなく足幅(ワイズ)も計測し、重心、足のアーチなども評価することで自分の足にあった靴を選択することが可能となります。しかもそれは自分で計測することはなかなかできることではなく、訓練を積んだシューフィッターだからこそできることです。

実際にNOSAKAさんと相談し、靴を履いてもらうことで改善した方を紹介します。

50台女性,初診3年前より右後足部に疼痛を自覚した.疼痛,腫脹が徐々に増悪したため当院を受診した.身体所見では右足関節前面と距舟関節面に圧痛を認め,too many toes sign は右3趾,左2趾であり,single heel raise test は右のみ陽性,可撓性のある外反扁平足を認めた.単純X線上外反型の変形性足関節症(stage 3a)を呈しており,外脛骨も認めた.踵骨は11度外反し,calcaneal pitch angle (CPA) 5度,距骨第一中足骨角(Lat-TM1) 20度(図1)であり,後脛骨筋腱機能不全による外反扁平足stage 2と診断した.手術療法と保存療法について説明したところ,仕事を長期間休むのが困難とのことで,まずは保存療法を希望された.靴による装具療法を提案し,シューフィッティングを行う靴屋(プロフェッショナルシューフィッティング NOSAKA,金沢)を紹介した.患者が足長に対して短い靴を履いていたことから,フィッティングが行われた.最初は踵がフラットな靴を提案されたが,ファッション面で折り合いがつかず,オランダ靴であるwolky ®(図2)を選択した.若干ヒールが高くなっていたが,前すべりもなく歩行には問題ないと考えられた.さらに,縦アーチを再現するように加工インソールを作成された.靴完成後2週で外来受診した際には,日常生活や仕事に支障をきたさない程度まで疼痛が改善していた(NRS 8→2).また,靴装着下に単純X線を撮影すると,踵骨は8度外反,CPA 10度, Lat-TM1 12度と改善しており(図3),前足部の外転も矯正されていた(図4).歩行は裸足の状態では股関節を外旋させ,跛行を認めたが,靴を履くことで股関節の外旋が減少し,跛行も消失して歩行スピードが上昇した.現在靴を履いてから6ヶ月が経過したが,画像上扁平足の進行はなく,疼痛も認めていない.
【図】
図1 初診時荷重治単純X線,CPA 5度,Lat-TM1 16度,踵骨11度外反と外反扁平足を認める.

図2 オランダ靴wolky®

図3 靴装着荷重時単純X線,CPA10度,Lat-TM16度,踵骨8度外反と扁平足の改善を認める.

図4 前足部単純X線背底像,左:裸足,右:靴装着時.靴装着時に前足部の外転が改善している.

手術でなければ改善が難しいところでしたが、手術を行うと約3ヶ月間は仕事復帰が難しくなってしまうので、それを懸念されていました。
実際、手術は自身の仕事が落ち着いたらや定年を迎えてからと考えるのは責任感が強い人ほどそうだと思います。だからと言ってその間痛みを我慢して過ごすのは非常に辛いことだと思います。この方は、靴を履いている間は痛みを感じないと非常に喜ばれていました。もちろん一概に全ての方が良くなるとは限りませんが、NOSAKAさんと協力して靴を履いていただくことで悩みが解消されたことは非常に喜ばしいことです。

②長尾靴製作所

長尾靴製作所を営んでいる長尾さんは元々、義肢装具士さんであり、靴をオーダーメイド作成していただくことができます。院長が福井県立病院に赴任してからお付き合いをさせていただいています。軽症から重症まで対応してくださりますので、福井県立病院のすぐ南のお店に行かれるのも良いかもしれません。

足のトラブルに対して靴の木型から作られるので、非常に大変な作業となりますが、いつも快く応じていただいています。

小児麻痺後の内反足やコンパートメント症候群後に足首が起きなくなってしまう尖足に対して相談させていただいたことがあります。

こちらも手術で治療をしようと思うと大掛かりな手術となり、術後はギプス期間が1ヶ月くらいになってしまうので、就労中、就学中の方はなかなか手術を受けることが難しく、私自身悩んだ末に長尾靴製作所さんに相談させていただきました。
足のすねくらいからのブーツ型の靴やハイアーチの靴を用いることで、歩行を安定させることができ、患者様にも非常に満足いただけました。先述しましたが、手術はどうしても仕事を休まなければならなかったり、休学や長期間の休みを検討しなければならなくなったりするために、なかなか気軽に受けられるものではありません。そんなに急がなくていい手術ならば急いで受ける必要はないので、それまでの期間を安楽に過ごしていただくかが、私どもの使命と考えております。
整形外科医と靴屋さんが協力することで、患者様の足と靴の健康を促進することができ、これらは非常に新たな試みとなっています。
足のトラブルなどでお困りの方は気軽に当院にご相談ください。

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