交通事故後の首の痛みは整形外科で何をする?診察・検査・治療の流れを解説
こんにちは、さくら通り整形外科クリニックの宇賀治 修平です。
「追突された翌日から首が回らない」
「事故直後は大丈夫だったのに、数日後から頭が重く吐き気もする」
事故のあと、こうした症状で病院を探している方は少なくありません。
事故後の首の痛みは、放置すると
頚椎捻挫(むちうち)
や外傷性頚部症候群として長引くことがあります。
受診先として迷う方も多いですが、まず受けていただきたいのが整形外科です。
当院は福井市の整形外科として、事故直後から症状固定までを一貫してサポートしています。
この記事では、
について、順を追って解説します。

1. 受付から問診まで——事故の状況を整理する
交通事故後に整形外科を受診すると、まず問診票への記入から始まります。
整形外科の問診で確認するのは、一般的に
です。
事故後の首の痛みは衝撃の方向や姿勢によって損傷部位が異なるため、状況の正確な把握は治療方針を決めるうえで欠かせません。
また、自賠責保険を使う場合は、相手方の保険会社名や事故証明書の取得状況も伺います。
事故から受診までの日数が空きすぎると、保険会社が事故と症状の因果関係を判断しにくくなる傾向があります。
目安として、
事故から3日以内、遅くとも1週間以内の受診
が望ましいと言われています。
問診では症状も丁寧に確認します。
首の痛みだけでなく、
など、一見「首と関係なさそう」な訴えも大切な情報です。
これらは
バレリュー症候群
や
頚椎症性神経根症
との鑑別に関わる症状で、問診段階から治療の方向性が見え始めます。

初診の流れ(目安)
| ステップ | 内容 | 所要時間の目安 |
|---|---|---|
| ① 受付・保険確認 | 「交通事故である旨」「相手方保険会社名」を窓口に伝える。自賠責・任意保険の確認を行う | 5〜10分 |
| ② 問診票記入 | 事故の状況(日時・ぶつかった方向・姿勢)・症状・既往歴などを記入する | 10〜15分 |
| ③ 問診 | 首・頭・肩・腕のしびれ・吐き気など全身症状を詳しく聴取する | 10〜15分 |
| ④ 身体診察 | 視診・触診・可動域検査・神経学的検査を実施する | 10〜15分 |
| ⑤ 画像検査 | レントゲン撮影(必要に応じてMRI・超音波を追加) | 15〜30分 |
| ⑥ 診断・治療方針の説明 | 検査結果をもとに診断名・治療計画・通院頻度を説明する | 10〜15分 |
2. 視診・触診・神経学的検査——医師が手で確かめること
問診のあと、整形外科医が直接からだを診ます。
これは画像検査では拾いきれない情報を、医師の手と目で確認する大切なステップです。
最初に行うのは視診です。
首の傾き、肩の高さの左右差、姿勢、皮膚の発赤や腫れの有無を観察します。
次に触診で、首の後ろ・側面・肩・肩甲骨周りの筋肉の硬さや圧痛点を確かめます。
むちうちでは
僧帽筋や胸鎖乳突筋、肩甲挙筋
に強い緊張が生じていることが多く、痛みの分布は損傷部位を推測する手がかりになります。
可動域検査では、首をどの方向まで動かせるか、どの動きで痛みが出るかを評価します。
前屈・後屈・側屈・回旋それぞれを左右比較し、制限のパターンから頚椎のどの部位にストレスがかかっているかを読み取ります。
さらに重要なのが神経学的検査です。
腕や手のしびれがある場合、整形外科では筋力検査・腱反射・知覚検査・
スパーリングテスト
などを行い、頚椎の神経根が圧迫されていないかを確認します。
これは
頚椎ヘルニア
や頚椎症性神経根症との鑑別に直結し、画像検査の前に「何を撮るべきか」を医師が判断するための土台になります。

主な検査・診断の種類と目的
| 検査名 | 何がわかるか | 交通事故で確認するポイント |
|---|---|---|
| 視診・触診 | 筋緊張・圧痛点・皮膚所見・左右差 | 損傷部位の特定、炎症の分布、姿勢異常の有無 |
| 可動域検査 | 頚椎の動きの制限・痛みの方向性 | どの動作で痛みが出るか、左右差はあるか |
| スパーリングテスト | 頚椎神経根への圧迫・刺激の有無 | 手や腕へのしびれ・放散痛が再現されるか |
| 腱反射検査 | 神経伝達の状態(亢進・低下・消失) | 頚椎レベルごとの神経障害の有無 |
| 筋力・知覚検査 | 特定神経支配域の筋力・感覚の低下 | 神経根症のレベル診断に活用 |
3. レントゲン・MRI・超音波——画像検査で何を見るのか
問診と身体所見である程度の見立てがついたら、画像検査に進みます。
整形外科で交通事故後の首の痛みに対して用いられる主な画像検査は、
の3種類です。
レントゲンでは、骨折・脱臼・頚椎のアライメント(並び)・椎間板の高さの変化などを確認します。
一般的に正面・側面・斜位・前屈位・後屈位など複数方向から撮影し、頚椎の動きに伴う異常を評価します。
特に
頚椎のストレートネック化
(生理的前弯の消失)は、事故後の頚部筋緊張を示すサインとして重視されます。
ただし、レントゲンに写るのは主に骨の情報です。
MRIは、軟部組織を立体的に評価できる検査です。
椎間板ヘルニア・靭帯損傷・神経根の圧迫
・脊髄の状態などを詳細に確認できます。
レントゲンで異常が見当たらないのに痛みが強い場合や、手のしびれ・力の入りにくさが続く場合は、MRIの撮影を検討することがあります。
当院では必要に応じて連携医療機関と協力し、迅速な検査体制を整えています。
超音波(エコー)検査は、筋肉や腱の損傷をリアルタイムで観察できる方法です。
動かしながら確認できるため、追突時の衝撃で生じた筋線維の損傷や血腫の有無を、
放射線被曝なく
評価できます。

4. 治療方針の決定と通院計画——一人ひとりに合わせて
検査結果と身体所見が揃ったところで、治療方針を立てます。
整形外科では、
急性期・回復期・維持期
という時期ごとに対応を変えていくのが一般的です。
急性期(受傷直後〜2週間程度)
は、炎症を抑えることが最優先です。
安静の指示、消炎鎮痛薬や筋弛緩薬の処方、頚椎カラー(コルセット)の使用、局所のアイシングなどを組み合わせます。
むやみに動かさないことが基本ですが、固定しすぎると回復が遅れることもあるため、医師が状態を見ながら調整します。
回復期(2週間〜2か月程度)に入ると、リハビリテーションが治療の中心になります。
理学療法士による徒手療法、ストレッチ、姿勢改善、温熱療法・電気療法など、症状に応じてプログラムを組みます。
むちうちの治療期間は症状の程度や個人差により幅があり、一般的に
1〜3か月
長い場合は
6か月を超える
こともあると言われています。
通院頻度は症状によって異なります。
目安として急性期は
週2〜3回
回復期は
週1〜2回
維持期は隔週〜月1回が多いですが、仕事や家事の事情もふまえ、一人ひとりに合った計画を一緒に決めていきます。

まとめ
交通事故後の首の痛みは、整形外科で
という流れで対応します。
レントゲン・MRI・超音波を症状に合わせて使い分け、筋肉・神経・椎間板まで含めて原因を追求するのが整形外科の役割です。
むちうちや頚椎捻挫は、初期対応の質と通院の継続が回復を左右すると言われています。
事故直後は症状が軽くても、
数日経ってから強く出ること
もあります。
痛みを我慢せず、早めに整形外科で全身を診てもらうことをおすすめします。

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筋肉・靭帯・神経・椎間板といった軟部組織は、レントゲンには写りません。