【変形性足関節症とは?捻挫の後遺症が足首を破壊する?】原因・治療・手術まで徹底解説
はじめに
「足首がズキズキ痛い」「昔の捻挫がなかなか治らず、今も足首がうまく動かない」そんな経験はありませんか?
足首の痛みを放置していると、やがて変形性足関節症という状態に陥るリスクがあります。これは足首の関節が徐々にすり減り、骨が変形する病気です。ひどくなると手術が必要になることもあり、日常生活に大きな支障が出ます。
本記事では、変形性足関節症のステージ別の症状や治療法、そして手術の選択肢をわかりやすく解説していきます。「ただの捻挫だし…」と放置しがちな足首の痛みが、実は将来的に深刻なトラブルを引き起こす可能性があるのです。早期発見・早期治療で痛みを軽減し、健康な足首を保つポイントを学んでいきましょう。
変形性足関節症とは?
変形性足関節症は、足首の関節が長い年月や外傷の影響で軟骨がすり減り、痛みや変形を生じる病気です。いわゆる変形性膝関節症が足首に起こるイメージに近いと考えてください。
- 主な原因
- 過去の捻挫:靭帯損傷や関節の不安定性が残ると、足首に負担がかかりやすくなります。
- スポーツ・肉体労働:激しい運動や立ち仕事で足首を酷使すると、軟骨が擦り減りやすくなります。
- 加齢・体重増加:年齢とともに軟骨が薄くなるほか、体重増加で足首への負担が増えることも原因となります。
初期段階では痛みを感じにくいため、見逃しやすいのが特徴です。しかし、じわじわと進行すると日常生活にも支障が出てしまいます。
ステージ別の症状と治療法
変形性足関節症は、進行度によって大まかに4つのステージに分けられます。下記では、それぞれのステージでの特徴的な症状と治療法を紹介します。
ステージ1(軽度)
- 症状
- 朝起きたときの足首のこわばり
- 長時間歩いたあとに少し痛む程度
- 対策・治療
- 生活習慣の改善:体重管理、休息をしっかりとる
- 運動療法:足首周りの筋力維持
- サポーターやインソールの使用:足首への負担を軽減
ステージ2(中等度)
- 症状
- 関節の軟骨がさらにすり減り、痛みや腫れが出やすくなる
- 長時間の立ち仕事や運動で強い痛みを感じる
- 対策・治療
- 装具療法:歩行時の安定を保つための足首サポーター
- 薬物療法:非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やヒアルロン酸注射
- リハビリ:正しい歩行フォームや筋力トレーニング
ステージ3(重度)
- 症状
- 関節の狭まりが顕著になり、骨同士がぶつかるようになる
- 安静にしていても痛むことがあり、外出が苦痛になる
- 対策・治療
- ステロイド注射:炎症や痛みを抑制
- 手術検討:関節鏡視下手術、骨切り術など。状態によっては人工関節置換術も視野に入れる
ステージ4(末期)
- 症状
- 関節がほとんど破壊され、骨変形が進行
- 激痛のため歩行困難となることも
- 対策・治療
- 関節固定術:足首を固定し、痛みをコントロール
- 人工関節置換術:可動域を取り戻すための最終手段
手術の選択肢について
ステージが進むと、痛み止めや注射だけでは対処できなくなるケースが増えます。そこで検討されるのが手術です。大まかに以下の2種類があります。
-
関節固定術
足首の骨をボルトやプレートで固定し、動きを制限する方法です。動きは制限されますが、痛みを大幅に軽減できるメリットがあります。 -
人工関節置換術
変形した関節を取り除き、人工の関節を入れる手術です。可動域をある程度確保できるため、日常生活での動きは自然に近くなります。ただし、耐用年数があるため若い人には慎重に適応されることが多いです。
どちらを選ぶかは、患者さんの年齢・活動レベル・骨の状態などを総合的に評価して決めます。
予防・セルフケアのポイント
1. 捻挫のケアをしっかり行う
軽度の捻挫でも靭帯を傷めている可能性があります。そのまま放置すると足首が不安定になり、将来的に変形性足関節症へと進行するリスクが高まります。
2. 適切な靴を選ぶ
足首をしっかりサポートし、クッション性のある靴を選びましょう。靴底が硬いものやハイヒールは関節への負担を増やしてしまいます。
3. 体重管理
体重が増えると足首への負担が一気に増大します。食事や運動習慣を見直し、適正体重を維持するよう心がけましょう。
4. 運動と休息のバランス
適度な運動は血行を促進し、筋力を維持・強化してくれます。しかし、運動後に痛みがある場合は無理をせず休息を取り、足首を冷やしたり温めたりして炎症をコントロールしましょう。
ここまでの内容はYOUTUBEでお話しています。是非参考にして下さい!
よくある質問(Q&A)
Q1. 変形性足関節症は自然に治る?
A. 残念ながら自然になおったり、元通りになることは難しいです。進行を遅らせたり痛みを緩和することは可能なので、整形外科でご相談いただければと思います。体重管理は非常に大事ですのでいしきしてください!
Q2. 手術は絶対に必要ですか?
A. すべてのケースで手術が必要になるわけではないです。初期〜中期なら痛み止めの注射やリハビリテーションで対応できることが大半です。ステージ3〜4と末期になると手術を検討することが多いです。ただし、足関節は、心臓とは違い手術をしなければ命に関わるということはないので、必ず手術が必要ということはないです。
Q3. スポーツを続けても大丈夫?
A. ステージや痛みの度合いによりますが、軽度であれば活動を制限しつつ続けることも可能です。ただし、痛みが強いときは無理をせず、医師の指導のもとで運動内容や方法を調整してください。
Q4. 変形性足関節症の手術後は普通に歩けるようになる?
A. 手術の種類やリハビリの進め方によります。関節固定術では動きは制限されますが痛みは軽減されますし、人工関節置換術なら可動域が広がる分、比較的自然に近い歩行が期待できます。どちらにしてもリハビリを怠ると回復は遅れるので、術後のケアが重要です。
参考文献(英語論文)
- Valderrabano V, et al. “Ankle Joint Arthrodesis versus Ankle Joint Replacement: Clinical and Biomechanical Considerations.” Clinical Biomechanics, 2007, 22(1), pp. 1-9.
- Hintermann B, et al. “Total Ankle Replacement: A Systematic Review and Analysis.” The Journal of Foot & Ankle Surgery, 2015, 54(2), pp. 230-236.
- Saltzman CL, et al. “Factors Affecting Results in Ankle Arthrodesis.” The Journal of Bone and Joint Surgery. American Volume, 1999, 81(9), pp. 1235-1242.
- Coetzee JC. “Management of Varus or Valgus Ankle Deformities with Total Ankle Replacement.” Foot and Ankle Clinics, 2008, 13(4), pp. 539-553.
まとめ
- 変形性足関節症は、過去の捻挫や加齢、過度な負荷によって足首の関節がすり減り、痛みや変形が生じる病気です。
- ステージ1〜2の軽度・中等度では、装具や薬物療法、リハビリなどで進行を抑えられる可能性があります。
- ステージ3〜4まで進行すると、痛みが強くなり、関節固定術や人工関節置換術などの手術が必要になるケースがあります。
- 早期発見と予防が重要です。捻挫を軽く見ずに適切な治療を行い、日頃から体重管理・靴選びに気をつけることでリスクを大幅に下げられます。
足首の痛みは「たかが捻挫」と放置しがちですが、後々の生活を左右する大切なサインかもしれません。気になる症状があれば、ぜひ早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けましょう。