【肘の痛み 放置すると治らない】 テニス肘 について解説 ストレッチ での治し方 、サポーター 、最新 の治療 もお伝え 上腕骨外側上顆炎

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テニス肘(外側上顆炎)は、肘の外側が痛くなる障害で、医学的には「外側上顆炎」と呼ばれています。テニスプレーヤーに多く見られたことが由来でこのような名称が定着しましたが、実際にはテニスをしない人でも発症し得る一般的な症状です。日常の家事や仕事、スポーツなどで手首を繰り返し使っていると、誰でもなる可能性があります。本記事では、テニス肘の原因・症状から最新の治療法まで、幅広い情報をわかりやすく解説していきます。この記事の内容をまとめたYOUTUBEもありますので、ぜひ最後までお読みください。

目次

  1. はじめに:テニス肘とは何か?
  2. テニス肘の原因とメカニズム
  3. テニス肘の症状とセルフチェック
  4. テニス肘 治し方 自分で:日常生活でできる対策
    • 4-1. 休養とアイシング
    • 4-2. ストレッチと軽いエクササイズ
    • 4-3. サポーターやエルボーバンドの活用
    • 4-4. 姿勢・作業環境の見直し
    • 4-5. 物の持ち方・握り方の工夫
  5. テニス肘の治療法:専門的アプローチ
    • 5-1. 消炎鎮痛薬・湿布
    • 5-2. 物理療法・リハビリテーション
    • 5-3. ステロイド注射の功罪
    • 5-4. プロロセラピー(高張ブドウ糖液注射)
    • 5-5. 体外衝撃波治療(自費診療)
    • 5-6. 血管内治療(動注治療)(自費診療)
    • 5-7. 手術療法
  6. 再発予防とリハビリのポイント
  7. Q&Aコーナー
  8. 参考文献:具体的な論文の紹介
  9. まとめ

1. はじめに:テニス肘とは何か?

**テニス肘(外側上顆炎)**は、肘の外側にある「外側上顆」という部位に炎症や微細損傷が起こり、痛みが生じる状態です。テニスのラケットを振る動作、特にバックハンドストロークでよくみられることから「テニス肘」と呼ばれますが、実はテニスをしない方でも発症します。料理で包丁を使う、パソコン作業でマウスを長時間操作する、ドライバーを繰り返し使うなど、手首や前腕を酷使する動きを多く行う人であれば、誰でも発症する可能性があるのです。

このテニス肘は、一度痛みが出始めると長期化しやすい特徴があり、日常生活やスポーツ活動の大きな妨げになります。本記事では、「テニス肘 治し方 自分で」を中心に、セルフケアの方法や予防策、そして最先端の治療法までを詳しく解説していきます。


2. テニス肘の原因とメカニズム

テニス肘は、前腕伸筋群(手首を反らす筋肉)が肘の外側に付着する部分に負担がかかり、微小な損傷や炎症が蓄積することで発症します。具体的には、以下のような要因が挙げられます。

  1. 繰り返しの動作
    • テニスのラケットスイング、ゴルフのスイング、料理(包丁)、DIY作業(ドライバー)など。
  2. 不適切なフォームや過度な力の入れ方
    • スポーツの際、フォームが崩れていると肘に必要以上の負荷がかかる。
  3. 握力の使いすぎ
    • 重いものを片手で持つ、バッグをいつも同じ腕で持ち続ける、筆圧が強いまま書き続けるなど。
  4. 加齢や運動不足
    • 年齢とともに腱や筋肉の柔軟性が低下し、傷つきやすくなる。
  5. 姿勢や作業環境の不備
    • パソコンやデスクワークで肘や手首に無理な角度がかかり続ける。

これらの要因によって、腕の筋肉を支えている腱が骨に付着する部位が繰り返し刺激されると、細かい断裂や炎症が生じやすくなります。その結果、肘の外側に痛みやこわばりを感じるようになり、これが長引くと慢性化するリスクが高まります。


3. テニス肘の症状とセルフチェック

テニス肘の代表的な症状は、肘の外側から前腕にかけての痛みです。特に以下の動作で痛みが増強しやすいことが知られています。

  • 手首を反らす(ドアノブを回す、ペットボトルのフタを開けるなど)
  • 物を強く握る(料理で包丁を握る、テニスラケットを握るなど)
  • 肘を伸ばした状態で重いものを持ち上げる

痛みの程度は個人差があり、軽い違和感から日常生活に支障をきたすほどの激痛まで様々です。早期に適切な対処をしないと、慢性化や再発を繰り返し、治癒に長期間要する可能性があります。

セルフチェック方法としては、以下のようなテストを行ってみると参考になります。

  1. トムゼンテスト
    • 椅子に座って前腕を机の上に置き、手のひらを下向きにした状態で手首を反らす。抵抗をかけられた時に肘外側に痛みが出れば陽性。
  2. 中指伸展テスト
    • 手のひらを下に向け、中指を反らすように上に持ち上げる。ここに抵抗を加えられた時に肘の外側に鋭い痛みを感じたら要注意。

もしこれらのテストで痛みを感じたら、テニス肘の可能性があるため、早めの対処や専門医への相談を検討してください。


4. テニス肘 治し方 自分で:日常生活でできる対策

テニス肘の初期段階であれば、**自分で行うセルフケア(ホームケア)**で症状の軽減や悪化防止を図ることが可能です。ここでは「テニス肘 治し方 自分で」を意識して、具体的に役立つ対策を紹介します。

4-1. 休養とアイシング

急性期の痛みが強い場合は、まず肘を休めることが最優先です。

  • 痛む動作をできるだけ避ける
  • 1日に数回、10〜15分程度のアイシング(氷や冷却パックをタオルで包む)を行う

アイシングは炎症を抑え、痛みを和らげる効果があります。直接肌に当てると低温やけどのリスクがあるので、タオルなどで覆いましょう。

4-2. ストレッチと軽いエクササイズ

痛みがある程度落ち着いてきたら、前腕の筋肉をほぐす軽いストレッチやエクササイズを始めます。

  1. 手首の伸展ストレッチ
    • 腕を前に伸ばし、手のひらを下に向ける
    • 反対の手で指先を下へ gently 引っ張ることで前腕の伸筋群を伸ばす
    • 15~20秒キープして、左右交互に3セット程度
  2. エキセントリックトレーニング(痛みが軽減した段階で)
    • 軽めのダンベルやペットボトル(500ml程度)を使い、手首の屈伸運動をゆっくり行う
    • 特に手首を下げる時にゆっくりと負荷をかけることで、腱の修復を促す効果が期待できる

4-3. サポーターやエルボーバンドの活用

ドラッグストアやスポーツ用品店で手軽に入手できるエルボーバンドは、前腕の筋肉や腱にかかる負担を分散し、痛みを和らげるのに役立ちます。ただし装着したからといって無理をすると逆効果になる場合もあるため、あくまで補助的なものとして活用しましょう。

4-4. 姿勢・作業環境の見直し

パソコン作業やデスクワークが多い方は、キーボードやマウス、椅子や机の高さを再チェックしましょう。肘や手首に負担がかかりにくい高さや角度を工夫するだけでも、痛みの進行を抑えることができます。

4-5. 物の持ち方・握り方の工夫

  • 重いものは両手で持つ
  • 筆圧を強くしすぎない(ペンの持ち方やグリップを見直す)
  • 包丁や工具のグリップを改善する(太めのグリップや滑り止め付きのグリップが有効)

5. テニス肘の治療法:専門的アプローチ

セルフケアだけでは痛みが治まりにくい、または痛みが長期化している場合には、医療機関での治療が必要になることがあります。ここでは、代表的な治療法を順に解説します。

5-1. 消炎鎮痛薬・湿布

痛みの軽減や炎症抑制を目的に、**NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)**や湿布が処方される場合があります。あくまで対症療法であるため、長期間使用すると副作用や耐性の問題がある点には留意が必要です。

5-2. 物理療法・リハビリテーション

  • 温熱療法(ホットパックや超音波など)
  • 低周波・超音波治療
  • マッサージや筋膜リリース

近年では、物理療法だけで劇的な改善が得られるケースは少ないとの意見もありますが、他の治療やリハビリと組み合わせることで痛みの軽減に役立ちます。

5-3. ステロイド注射の功罪

ステロイド注射は強力な抗炎症作用がありますが、回数を重ねると筋肉や腱が弱くなり、繰り返し打つ必要性が高まるといった問題が指摘されています。そのため、最近ではステロイド注射の使用を控える動きもあります。

5-4. プロロセラピー(高張ブドウ糖液注射)

プロロセラピーは、高張ブドウ糖液を炎症部位に注射し、意図的に軽度の炎症を起こすことで組織の修復を促す新しい治療法です。妊婦や授乳中、子どもでも比較的安全とされ、アメリカなど海外では幅広く取り入れられています。

5-5. 体外衝撃波治療(自費診療)

痛みの部位に衝撃波を与え、異常な血管や神経の増殖を抑制する目的の治療です。1回20分ほどの施術を週1回ペースで3回程度行うことが多く、施術中は痛みを伴うこともありますが、症状の慢性化を防ぎ、回復を促す効果が期待されています。

5-6. 血管内治療(動注治療)(自費診療)

肘の痛みを引き起こす「もやもや血管」をピンポイントで塞栓(血管を詰める)する治療法です。チエナムという抗生物質を血管内注射して異常な血管だけを閉じることが可能とされ、東京のオクノクリニックを中心に全国へ広がりつつあります。

5-7. 手術療法

重症化し、他の治療法では改善が見込めない場合に検討されます。局部的な腱の修復や骨膜の削除などを行うケースがあり、術後はリハビリを経て段階的に回復を目指します。


6. 再発予防とリハビリのポイント

テニス肘は再発しやすい特性があるため、一度痛みが治まっても同じ生活習慣を続けていると、また痛みがぶり返す可能性があります。これを防ぐには、以下の点に注意すると良いでしょう。

  1. フォームの修正
    • スポーツであればコーチやトレーナーにフォームを確認してもらい、不自然な動きによる負担を軽減する。
  2. 筋力バランスの向上
    • 前腕だけでなく、肩甲骨周りや体幹の筋肉も含め、全身の筋肉をバランス良く鍛えると肘の負担が減る。
  3. ストレッチの継続
    • 特に運動前や後、長時間のデスクワーク前後には前腕のストレッチを習慣化する。
  4. 休息とセルフケア
    • 痛みが出始める兆候を感じたら、早めのアイシングやテーピング、サポーターの使用などで悪化を防ぐ。

7. Q&Aコーナー

Q1. テニス肘とゴルフ肘はどう違うの?

  • A. テニス肘は肘の外側(外側上顆)、ゴルフ肘は肘の内側(内側上顆)の痛みです。いずれも繰り返しの動作による腱への負担が主な原因ですが、痛む箇所が異なるため診断やアプローチもやや異なります。

Q2. テニス肘になったら運動は中止すべき?

  • A. 痛みが強い時期は控えるのが賢明です。痛みが落ち着いたら、フォームを修正しながら軽い運動から再開し、再発を防ぐ筋力づくりやストレッチを取り入れましょう。

Q3. テニス肘 治し方 自分でできるだけで完治できる?

  • A. 早期発見・軽度症状の場合は、適切なセルフケアや生活改善で完治するケースが多いです。痛みが長引いている、もしくは生活に大きな支障が出るほど強い場合は専門医に相談しましょう。

Q4. サポーターやエルボーバンドの選び方は?

  • A. サイズが合わないものは効果が薄いだけでなく、血行不良を招く可能性があります。痛みの部位や作業内容に合わせて、専門店や医師、理学療法士と相談しながら選ぶと良いでしょう。

Q5. 注射や手術にはデメリットはない?

  • A. ステロイド注射の頻用は腱や筋肉への悪影響、手術は感染症や術後のリハビリリスクなどが考えられます。メリットとデメリットをよく理解し、担当医と相談して最適な治療を選択してください。

8. 参考文献:具体的な論文の紹介

  1. Bisset L, Paungmali A, Vicenzino B, Beller E.
    A systematic review and meta-analysis of clinical trials on physical interventions for lateral epicondylalgia.
    Br J Sports Med. 2005; 39(7):411-422.

    • テニス肘(外側上顆炎)に対する物理療法の有効性を統合的に評価したメタアナリシスです。ストレッチやエクササイズ、物理療法の効果を比較しており、セルフケアの重要性についても言及されています。
  2. Coombes BK, Bisset L, Vicenzino B.
    Management of lateral elbow tendinopathy: One size does not fit all.
    J Orthop Sports Phys Ther. 2015; 45(11):938-949.

    • テニス肘の診断およびマネジメントに関する包括的なレビュー。患者個々の状態に合わせた治療戦略が必要だと強調しており、プロロセラピーや体外衝撃波治療などの最新アプローチについても記述があります。
  3. Petrella RJ, Cogliano A, Decaria J.
    Management of tennis elbow with sodium hyaluronate periarticular injections: A pilot study.
    Sports Med Arthrosc Rehabil Ther Technol. 2010; 2:4.

    • ヒアルロン酸注射によるテニス肘の改善を検討したパイロット研究。プロロセラピー以外にも様々な注射療法の可能性が示唆されており、治療の幅を広げる一助となる論文です。
  4. Wang CJ.
    An overview of shock wave therapy in musculoskeletal disorders.
    Chang Gung Med J. 2003; 26(4):220-232.

    • 体外衝撃波治療が慢性的な腱障害(肩腱板炎、足底腱膜炎、テニス肘など)に対してどのように効果を発揮するのかを概説した論文。痛みのメカニズム改善に寄与する可能性が説明されています。
  5. Okuno Y, Nakamura E, Sakai Y, et al.
    Transcatheter arterial embolization as a treatment for chronic refractory lateral epicondylitis: A preliminary report.
    J Vasc Interv Radiol. 2017; 28(7):1039-1044.

    • 日本発の血管内治療(動注治療)の一例報告。もやもや血管を選択的に塞栓する手法で痛みの改善を図るという先端的な治療アプローチについて具体的なデータが示されています。

ここまでのことはYOUTUBEで解説しています。是非ご覧ください!


9. まとめ

テニス肘は、手首や前腕を酷使するあらゆる動作が原因となる、日常生活でも非常に身近な障害です。**「テニス肘 治し方 自分で」**と検索して対処法を探している方も多いでしょうが、初期段階であれば十分セルフケアで改善が期待できることがあります。休息やアイシング、ストレッチ、エルボーバンドの活用などを組み合わせて、日常生活に取り入れてみてください。

しかし、痛みが長引いたり、日常生活やスポーツに大きな支障が出るほど悪化した場合には、専門的な治療の検討も必要です。消炎鎮痛薬や物理療法、ステロイド注射に加えて、プロロセラピー、体外衝撃波治療、血管内治療などさまざまな選択肢が存在します。症状の程度やライフスタイルに合わせて、担当医と相談しながら最適な治療を選んでください。

さらに、テニス肘は再発のリスクが高い疾患でもあります。一度症状が落ち着いても、同じ生活習慣やフォームで作業を続ければ、また同じ痛みがぶり返す可能性があります。長期的な視点でフォームを見直し、筋力バランスを整え、適切な休養を挟みながら活動を続けることで、肘の健康を守ることができるでしょう。

もしも痛みで悩んでいる方は、まずは身近なセルフケアを試してみてください。それでも改善が見られない場合は、早めに医師や理学療法士などの専門家に相談し、必要な治療やリハビリを検討することが大切です。テニス肘の克服は「治し方 自分で」の実践と、適切な医療のサポートが両輪となってこそ実現できるのです。


 

この記事を執筆した人
宇賀治 修平
  • 医学博士
  • 日本整形外科学会整形外科専門医
  • 日本足の外科学会認定医
  • 日本スポーツ協会認定スポーツドクター
  • 日本骨粗鬆症学会認定医
  • 日本整形外科学会認定リハビリテーション医