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テニス肘 (外側上顆炎 ) について

[2024.09.25]

こんにちは、さくら通り整形外科クリニックの宇賀治 修平です。今回は、スポーツや日常生活の動作で多くの方が悩まされる「テニス肘」、または「外側上顆炎」についてお話しします。
テニス肘は、特にテニスをする人に多く見られる症状ですが、日常生活で同じ動作を繰り返すことで、誰にでも起こりうる症状です。肘に痛みを感じることで、仕事や趣味などの動作が制限され、日常生活にも大きな支障を与えることがあります。このブログでは、テニス肘の原因や症状、自宅でできるストレッチやケア方法、最新の治療法について詳しくご紹介します。少しでも痛みを和らげ、回復のお手伝いができれば嬉しいです。

テニス肘とは

テニス肘とは、肘の外側に痛みが発生する病気で、正式には「外側上顆炎」と呼ばれます。これは、肘の外側にある筋肉や腱が繰り返し使われることにより炎症を起こす状態を指します。テニスプレーヤーに多いことからこの名前がついていますが、実際にはテニスをしていない人でも発症します。日常的な動作でも、手首や前腕を頻繁に使うことが原因となることが多いです。

テニス肘以外にも、スポーツに関連した肘の症状として「ゴルフ肘」や「野球肘」などがあります。ゴルフ肘は、肘の内側に痛みが出る「内側上顆炎」の一種で、ゴルフのスイングなどで発症します。これらの肘の病気についても、また機会があれば詳しくお話ししたいと思います。

テニス肘の原因

テニス肘は、日常的な手首の動作や、物を握る動作を繰り返すことで発症します。例えば、テニスのスイング動作のほかにも、料理で包丁を使う際の繰り返しの動作、仕事で工具を使ったり、パソコンのキーボード操作を長時間行ったりすることが原因となる場合があります。

これらの動作によって、肘に繋がる前腕の筋肉や腱が過剰に使われ、小さな損傷が蓄積されます。特に
手首を繰り返し持ち上げる動作や、強い力を込めて物を握る動作が多い方は、テニス肘になるリスクが
高まります。この損傷による炎症が、肘の外側に痛みを引き起こすのです。

テニス肘の症状

テニス肘の主な症状は、肘の外側に痛みを感じることです。この痛みは、物を握ったり、持ち上げたりする際に特に強くなります。例えば、ペンで文字を書いたり、ドアのノブを回すような簡単な動作でも痛みが悪化することがあります。症状が進行すると、痛みが腕全体に広がり、手首や指先にまで不快感を感じることもあります。

具体的な症状としては、以下のようなものがあります:

1. 肘の外側にある骨の周りの痛み

肘を触ると痛みを感じることがあり、物を持つときに強く痛みが出ます。

2. 握力の低下

ペンやカップなど軽いものでも持ち上げるのが辛くなる場合があります。

3. 腕や手首に広がる痛み

痛みが肘から前腕や手首にかけて広がり、腕全体に不快感を覚えることがあります。

4. 痛みの悪化

痛みは徐々に強くなることが多く、初期段階では軽度の不快感として感じられることもありますが、放置すると急激に痛みが悪化することがあります。

これらの症状が出た場合、無理に肘を使い続けることは避けるべきです。適切なケアを行い、早期に対
策を講じることが重要です。

自分でできるテニス肘の管理方法

テニス肘の症状が軽度の場合は、自宅でできるケアや予防策で痛みを軽減し、症状を管理することが可
能です。以下に、テニス肘のセルフケア方法をいくつかご紹介します。

1. アイシング(冷却療法)

テニス肘の痛みが出た場合、まずはアイシングを行うことで炎症を抑えることができます。氷や冷却パックをタオルで包み、痛みがある部分に10〜15分ほど当ててください。これを1日に数回行うことで、痛みと腫れを軽減することができます。

2. ストレッチ

手首や前腕の筋肉を適切に伸ばすストレッチを行うことで、筋肉の緊張を和らげることができます。例えば、手を前に伸ばして手首を下に曲げ、もう一方の手で軽く引き寄せるようにストレッチする方法が効果的です。これにより、筋肉の柔軟性が向上し、テニス肘の予防にも役立ちます。

3. サポーターの使用

テニス肘専用のサポーターを使用することで、肘への負担を軽減し、痛みを和らげることができます。サポーターは肘や前腕をサポートし、負荷のかかる動作を和らげる役割を果たします。特に日常生活で腕を使うことが多い方におすすめです。

4. 生活習慣の見直し

日常生活での動作や姿勢を見直すことも重要です。例えば、重いものを持つときは両手を使うようし、パソコン作業では定期的に休憩を取るなどの工夫が、テニス肘の予防につながります。また、テニスやゴルフなどのスポーツを行う際は、正しいフォームを意識することが重要です。

テニス肘の治療方法

テニス肘の症状が改善しない場合や、痛みが強い場合は、専門医の診察を受けることをおすすめします
。現在、テニス肘にはいくつかの治療法があり、症状の程度に応じて適切な方法が選ばれます。以下は、一般的に行われる治療法の一部です。

1. 薬物療法

痛みや炎症を抑えるために、抗炎症薬や鎮痛薬が処方されることがあります。これにより一時的に症状が改善しますが、根本的な治療にはならないため、他の治療法と併用することが一般的です。

2. 物理療法(リハビリテーション)

物理療法では、肘や腕の動きを改善し、痛みを和らげるための特別なエクササイズやストレッチが行われます。また、温熱療法や冷却療法も痛みの軽減に役立ちます。専門の理学療法士が指導するリハビリを通じて、肘の機能を回復させます。

3. プロロセラピー(高張ブドウ糖液注射)

高張ブドウ糖液を腱や筋肉に注射し、組織の修復を促進する治療法です。炎症を引き起こすことで自己修復力を高め、症状の改善を期待します。ブドウ糖は安全性が高く、妊婦さんや授乳中の方にも適用できるため、幅広い患者に対応可能です。

4. 体外衝撃波療法

衝撃波を患部に当てて、痛みの原因となる異常な血管や神経を破壊する治療法です。1回の治療は20分ほどで、週に1回、3〜5回行うことが一般的です。痛みはありますが、症状が改善されることが多いです。

5. 血管内治療(動注治療)

もやもや血管と呼ばれる異常な血管を閉じる治療法で、痛みの原因を根本から取り除くことを目指します。動脈に抗生物質を注射することで、もやもや血管を詰まらせ、痛みを軽減します。福井県内でこの治療を行っているクリニックは限られており、当院ではこの治療を導入しています。

6. 再生医療(PRP治療)

自分の血液から抽出した成分を用いて、組織の再生を促す再生医療です。特にPRP治療は、筋肉や腱の損傷を修復し、痛みを和らげる効果が期待されています。エコーガイドを用いて正確に注射することで、より効果的な治療が行えます。

7. 外科的治療

上記の治療法で症状が改善しない場合には、手術が検討されることがあります。手術では、肘の損傷した腱や筋肉を修復し、痛みの原因を取り除きます。手術後はリハビリが必要ですが、長期的な改善が期待できます。

まとめ

テニス肘は、誰にでも起こりうる症状ですが、早期の対処と適切な治療で痛みを和らげ、日常生活を取り戻すことが可能です。もし肘の痛みでお悩みの方がいらっしゃいましたら、無理をせず早めに専門医にご相談ください。ご質問や不明点がありましたら、さくら通り整形外科クリニックまでお気軽にご相談ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
次回も、皆さんの健康をサポートする情報をお届けしますので、どうぞお楽しみに!

この記事を執筆した人
宇賀治 修平
  • 医学博士
  • 日本整形外科学会整形外科専門医
  • 日本足の外科学会認定医
  • 日本スポーツ協会認定スポーツドクター
  • 日本骨粗鬆症学会認定医
  • 日本整形外科学会認定リハビリテーション医
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