骨のがん の 初期症状 と余命 | 骨癌, 骨腫瘍, 骨肉腫 の転移, 痛み,治療法,そして治る可能性を徹底解説

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骨のがん の 初期症状 と余命 | 骨癌, 骨腫瘍, 骨肉腫 の転移, 痛み,治療法,そして治る可能性を徹底解説

 

こんにちは、さくら通り整形外科クリニックの宇賀治修平です。今日は「骨がん」について、皆さんにわかりやすい形でお伝えします。骨がんには、大きく分けて骨そのものに発生する「原発性骨がん」と、ほかの臓器から転移してくる「転移性骨がん」があります。どちらも早期発見と治療がとても大切です。骨がんは比較的まれな病気ですが、もし骨に痛みや腫れがある場合は、なるべく早めに病院で検査を受けましょう。

目次

【骨がんとは?】

骨がんとは、その名のとおり骨に発生するがんのことです。原発性骨がんの代表例には「骨肉腫(こつにくしゅ)」「軟骨肉腫(なんこつにくしゅ)」「ユーイング肉腫」などがあります。これらは若い人から中高年の方まで幅広い年代に起こる可能性がありますが、骨肉腫やユーイング肉腫は10~20代、軟骨肉腫は30~60代に多いなど、ある程度の傾向が知られています。一方、転移性骨がんは、乳がんや肺がん、前立腺がんなどが骨に広がるケースです。高齢者や進行したがん患者さんにしばしば見られます。

下の表は、主な原発性骨がんについて整理したものです。どの年代に多いか、どんな特徴があるかをまとめています。

がんの種類 好発年齢 主な特徴
骨肉腫 10~20代 成長期の骨に発生しやすい。骨を作る細胞にできるため進行が早い。
軟骨肉腫 30~60代 骨内で軟骨が増殖する。進行は比較的ゆるやかだが、切除が重要。
ユーイング肉腫 10~20代 骨だけでなく軟部にも生じる場合がある。急激に痛みが進むことも。

【初期症状と痛み】

骨がんの初期症状としてもっとも多いのは「骨の痛み」です。一般的な筋肉痛や軽いケガであれば、数日休めば改善していくことが多いですが、骨がんによる痛みは夜間や安静時でも続きやすいのが特徴です。また、痛みが続くにつれて患部が腫れたり、しこりを感じたりする場合もあります。さらに、骨が弱くなることで、小さな負荷でも骨折してしまうことがあります。これを「病的骨折」と呼びます。脊椎(背骨)にがんが発生すると、背中や首の痛みだけでなく、神経が圧迫されるため手足のしびれや筋力の低下、歩行困難などの症状が現れるケースもあります。もし「いつもの痛みと違うな」「長引いているな」と感じたら、早めに整形外科やがん専門医に相談しましょう。

【診断方法】

骨がんが疑われる場合、まずはX線(レントゲン)検査で骨の状態を確認します。がんがある部分の骨が溶けたように見えたり、逆に骨が増殖しているように見えたりするのが一つの目安です。次に、CT検査やMRI検査を行うことで、がんの広がりや周囲の組織への影響を詳細に調べます。最終的には「生検(せいけん)」といって、腫瘍の組織を少し取り出して顕微鏡で調べる検査を実施します。この生検によって骨肉腫や軟骨肉腫など、具体的ながんの種類が確定し、治療方針が決まります。

【治療法】

骨がんの治療方法は、手術、放射線治療、化学療法(抗がん剤)、場合によってホルモン療法を組み合わせることがあります。手術では、がんのある骨の部分を切除し、人工骨や金属インプラント、あるいは自分や他人の骨を移植して補強することが多いです。放射線治療は、高エネルギーの放射線でがん細胞を攻撃します。手術では取り切れない小さながん細胞をやっつけたり、痛みをやわらげたりする目的で使われます。化学療法は、抗がん剤を点滴や内服で投与し、全身に広がっているかもしれないがん細胞をまとめて攻撃する方法です。骨肉腫などの原発性骨がんでは、手術前後に化学療法を行うことで生存率の向上を目指します。転移性骨がんの場合は、原発巣(最初にがんができた場所)の治療や、痛みをコントロールするための放射線治療なども重視されます。

【余命と予後】

骨がんの余命や予後は、がんの種類やステージ(進行度)、患者さんの体力や年齢などで異なります。原発性骨がんの場合、骨肉腫の5年生存率は60%から80%と報告されており、治療の進歩によって以前より予後は良くなってきています。ただし、早期発見かどうかで予後は大きく変わるため、症状の見逃しには要注意です。一方、転移性骨がんは元になったがんの性質や広がり方によって予後が変動します。複数の臓器に転移している場合でも、放射線治療や骨を補強する手術、薬物治療などを組み合わせることで痛みをやわらげ、生活の質を保ちながら過ごせるようにすることが治療の大きな目的になります。

【治療後のリハビリテーション】

骨がんの治療では、骨を部分的に切除したり、金属や人工骨で補強する場合もあります。手術後は、筋力や関節の柔軟性を取り戻すためにリハビリをしっかり行うことが大切です。たとえば、歩行練習や筋トレ、ストレッチなど、医療スタッフの指導のもとで段階的に進めていきます。転移性骨がんの場合も、痛みをなるべく減らし、日常生活を送りやすくするためにリハビリが役立ちます。

【予防と生活習慣の改善】

原発性骨がんを完全に防ぐ方法は確立されていません。しかし、転移性骨がんを防ぐためには、元になるがんの早期発見・早期治療が重要です。乳がんや肺がん、前立腺がんなども定期検診を受けたり、気になる症状があればすぐに病院へ行きましょう。また、骨の健康を保つためにはカルシウムやビタミンDを含む食事と適度な運動が大切です。喫煙や過度の飲酒を避けることも、がん予防という面から見ると大きな効果が期待できます。生活習慣を整え、定期的に健康診断を受けることで早期発見・治療につなげましょう。

【Q&A:よくある質問】

Q1. 夜に痛む骨の痛みはすべて骨がんですか? A1. すべてではありません。筋肉や関節の痛み、成長痛などの場合もあります。しかし、長期間改善せず、夜間も強い痛みが続くなら早めに受診しましょう。

Q2. 骨がんは子どもから高齢者まで誰でもなる可能性がありますか? A2. 原発性骨がんは若い人に多い種類と中高年に多い種類があります。一方、転移性骨がんは高齢者が多い傾向です。どの年代でも骨の痛みが長引くときはチェックが必要です。

Q3. 骨がんが発見されたら、すぐに手術しなければなりませんか? A3. がんの種類や進行度によって異なります。化学療法や放射線治療を先に行う場合もありますので、担当医と相談しながら最適な治療方法を決めていきます。

Q4. 骨肉腫などの手術後、部活や運動はできなくなるのでしょうか? A4. 手術の範囲や術後の回復状況にもよりますが、リハビリで筋力や柔軟性を鍛えれば、ある程度は運動を楽しめるようになる場合もあります。焦らず段階的に進めましょう。

Q5. 転移性骨がんは治らないのですか? A5. 完全な治癒が難しいケースも多いですが、治療によって痛みを軽くしたり骨折を予防したりできるため、生活の質を保ちつつ過ごすことを目指す方が多いです。

ここまでの話をYOUTUBEにまとめてみました。理解の助けになりますので、ご覧ください!

【参考文献・情報源】

  1. 国立がん研究センター がん情報サービス「肉腫(骨・軟部組織)」
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  2. 日本整形外科学会「骨腫瘍」
    https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/benign_malignant_bone_tumors.html
  3. 厚生労働省 e-ヘルスネット「骨粗鬆症と骨折」
    e-ヘルスネット(厚生労働省)
  4. 日本癌治療学会「がん診療ガイドライン」
    https://www.jsco-cpg.jp/

【まとめ:大切なポイント】

  1. 骨そのものにできる原発性骨がんと、ほかの臓器から広がる転移性骨がんがある。
  2. 夜間や安静時でも続く骨の痛み、腫れやしこり、病的骨折などが重要なサイン。
  3. 診断にはX線、CT、MRI、生検などを用いて総合的に判断する。
  4. 治療は手術、放射線、化学療法などを組み合わせ、リハビリや痛みのコントロールも大切。
  5. 予後は種類や進行度、患者さんの体力によって異なる。早期発見がカギとなる。
  6. 定期検診と健康的な生活習慣で、骨がんや他のがんのリスクを減らす。

少しでも気になる症状がある方は、早めの受診をおすすめします。適切な情報を正しくあ理解し、しっかり行動することで、自分や大切な人の健康を守っていきましょう。骨に限らず体の異常を感じたら無理せず医療機関に相談し、必要があれば精密検査を受けてください。今回の情報がお役に立てれば幸いです。