【整形外科医が解説】ロキソニンの正しい使い方|副作用・使用上の注意・市販薬との違い

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【医師が解説】ロキソニンとは?特徴・効き目・副作用・安全な使い方まで徹底ガイド

こんにちは。福井市・さくら通り整形外科クリニックの院長、宇賀治修平です。

日常生活の中で「とりあえずロキソニン飲んでおこう」と言った経験、ありませんか?
確かに、ロキソニンは頼れる市販薬のひとつですが、正しい知識がないままの使用は危険を伴います。

今回は、ロキソニンの仕組みから効果、安全性まで、医師の視点でわかりやすくご紹介します。

ロキソニンとはどんな薬?

ロキソニン(一般名:ロキソプロフェンナトリウム)は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の一種です。痛みや炎症の原因となる「COX酵素」の働きを抑えることで、発熱・頭痛・腰痛・関節痛・月経痛など、幅広い症状に対応できます。

発売は1991年。以降、年間2,000万人以上が使用する「国民的鎮痛薬」として定着しています。

ロキソニンの種類

✔️内服薬(錠剤・シロップ)
✔️外用薬(テープ・パッチ・ゲル)
✔️ 市販薬(ロキソニンS) ※最大3日間までの自己判断仕様に制限あり

ロキソニンの効果とエビデンス

✔️ひざの痛み(変形性関節症)
2023年〜24年に行われた大規模臨床試験(Ma Xら)では、ロキソプロフェン100mgのパッチ(貼付薬)は内服薬よりもわずかに優れていたとの報告が。
特に副作用が少なく、膝まわりの痛みや腫れに局所的に効くというメリットがあります。

✔️肩の痛み(五十肩・凍結肩)
2024年のRCT(Wangら)では、ロキソニンのパッチ+リハビリを組み合わせた場合、肩の可動域が大幅に改善されたとのデータが。
薬だけでなく、「動かす+貼る」ことが回復の近道となることが示されています。

✔️慢性疼痛の実臨床報告
2024年の実地観察(Zhangら)では、ロキソプロフェンパッチを使った60例中、有効率は93%、満足度は90%という結果に。
副作用が少なく、使いやすいと感じた患者が多かったことも特徴です。

 

ロキソニンの副作用と注意点

心筋梗塞・脳卒中のリスク

2024年10月にPMDA(医薬品医療機器総合機構)が、ロキソニンを含むNSAIDsの添付文書を改訂し、重大な副作用として「心筋梗塞・脳血管障害」を明記しました。

特に以下の方は注意が必要です。

✔️高血圧
✔️糖尿病 
✔️喫煙歴がある

「最小用量・最短期間」での使用が原則です。

PPI(胃薬)との併用リスク

「胃が荒れるなら胃薬を飲めばいい」と思いがちですが、実は腸の出血リスクが増加するケースも。

2025年の研究(Leeら)では、NSAIDsとPPIを併用した群は、単独使用より2.8倍下部消化管出血が多いと報告されています。

妊娠中の使用はNG

特に妊娠後期には、胎児の血管に悪影響が出る可能性があるため、絶対に使用しないでください。妊娠がわかったら、必ず主治医に相談しましょう。

 

これらの話をまとめたのがコチラ

ロキソニンを安全に使うための5か条

①最小用量・最短期間で使用する  

②痛み日誌をつけて、効果の有無を把握する  

③他の薬(抗凝固薬、抗うつ薬など)との併用リスクをチェック

空腹時を避けて服用、水分もしっかり

貼付剤(パッチ・ゲル)を上手に活用する

よくある質問(Q&A)

Q1:病院のロキソニンと市販薬、違いはあるの?

→ 成分は同じですが、市販薬は最大3日間までしか使えません。長期的に使いたい場合は、必ず医師の処方を受けましょう。

ロキソニンとイブ、どちらが良いですか?

→ 両方ともNSAIDsですが、ロキソニンはプロドラッグ(体内で変化してから効く)という特徴があります。
一般的に胃への負担が少ないとされますが、個人差もあるため、どちらが良いかは症状や体質によります。

Q3:部活前に飲んでも大丈夫?

→ 発熱や脱水状態での運動は、腎臓に大きな負担がかかる可能性があります。
特にスポーツをしている学生さんは、無理せず休むことも大切な判断です。使用は必ず医師や保護者と相談してから。

 

まとめ:ロキソニンは“使い方次第”

ロキソニンは、痛みに悩む多くの人にとって非常に頼りになる薬です。しかし、「効く薬」にはリスクもあるということを忘れないでください。

とくに、

心臓・腎臓・腸への影響
妊娠中の使用
他の薬との併用

これらのポイントを理解して、正しい知識で上手に付き合っていくことが大切です。

もし不安がある場合は、自己判断せずに必ず医師・薬剤師へ相談してください。

参考文献

Ma X et al. J Pain Res. 2023;16:123-132.
PMDA. NSAIDs添付文書改訂(2024年10月)
Lee M et al. Gut Liver. 2025;19(2):243-252.
Zhang Y et al. J Pain Res. 2024;17:535-545.
Wang L et al. Eur Rev Med Pharmacol Sci. 2024;28(5):3761-3770.

この記事を執筆した人
宇賀治 修平
  • 医学博士
  • 日本整形外科学会整形外科専門医
  • 日本足の外科学会認定医
  • 日本スポーツ協会認定スポーツドクター
  • 日本骨粗鬆症学会認定医
  • 日本整形外科学会認定リハビリテーション医