冬の季節、特に雪の日には、転倒や交通事故、さらには屋根からの転落など、さまざまな怪我のリスクが高まります。これらのリスクを理解し、適切な予防策を講じることで、安全に冬を過ごすことが可能です。本記事では、雪の日に注意すべき主な怪我とその予防策について詳しく解説します。
雪の日によくある怪我トップ4
転倒による骨折・打撲
雪や氷で滑りやすくなった路面では、転倒による骨折や打撲が多発します。特に手首(橈骨遠位端骨折)や肘、股関節(大腿骨頸部骨折)などが一般的です。高齢者は骨密度が低下しているため、軽い転倒でも骨折のリスクが高まります。
捻挫(足首・膝)
雪道や凍結した路面で足を滑らせ、足首や膝を捻挫するケースが多く見られます。特に、筋力が低下している方やバランス感覚が弱い方は注意が必要です。
交通事故によるむち打ち・打撲
雪の日は視界不良や路面の凍結により、交通事故のリスクが増加します。追突事故などで首や背中に負担がかかり、むち打ち症状や打撲を引き起こすことがあります。異常を感じた場合は、早めに医師の診断を受けることが重要です。
屋根の雪下ろしからの転落事故
積雪による屋根の雪下ろし作業中に、足場の悪さや不注意から転落事故が発生することがあります。これにより、脊椎圧迫骨折や破裂骨折などの重篤な怪我を負うリスクがあります。
転倒予防の具体策
雪道での転倒を防ぐためには、以下のポイントを心掛けましょう。
歩き方の工夫
歩幅を小さく
歩幅を狭くし、ゆっくりと歩くことでバランスを保ちやすくなります。
足の裏全体で接地
足の裏全体を路面につけるように意識し、重心をやや前に傾けると安定します。
滑り止め対策
適切な靴の選択
防滑性の高い靴や、靴底に着脱式の滑り止めを装着することで、滑りにくくなります。
滑り止めスプレーの使用
靴の裏に滑り止めスプレーを使用するのも効果的です。
荷物の持ち方
両手を空ける
両手がふさがっているとバランスを崩しやすく、転倒時に手をつくことが難しくなります。リュックサックを使用し、両手を自由に保つようにしましょう。
雪かき・雪下ろし作業の注意点
雪かきや屋根の雪下ろし作業を安全に行うためのポイントは以下の通りです。
腰や膝への負担を減らす
正しい姿勢
重い雪を持ち上げる際は、膝を曲げて腰を落とす「スクワット」の姿勢を取り、
重い雪を無理して持ち上げようとすると、腰痛やぎっくり腰になる危険があります。
膝を曲げて腰を落とす“スクワットの姿勢”で腰への負担を軽減しましょう。
適度な休憩をとる
定期的な休息
長時間の作業は疲労を蓄積させ、バランスを崩す原因となります。30分ごとに休憩を取り、体力を回復させましょう。
屋根の雪下ろしの安全対策
安全装備の使用
高所での作業には、命綱や安全帯の装着、ヘルメットの着用が必須です。
複数人での作業
一人での作業は避け、複数人でお互いを確認し合いながら進めることで、安全性が向上します。
高所作業なので必ず命綱・安全帯を装着し、ヘルメットを着用する。
転落すると脊椎圧迫骨折や破裂骨折につながりやすく、重症化しやすい点を認識しておきましょう。
雪道での運転ポイント
雪道での運転は、通常よりも慎重さが求められます。以下の点に注意してください。
速度と車間距離の調整
雪道や凍結路ではブレーキが効きにくくなるため、速度を控えめにし、車間距離を通常の1.5~2倍に設定しましょう。急ブレーキや急ハンドルは避けてください、ゆっくりとした操作を心掛けてください。
タイヤの準備
スタッドレスタイヤの装着はもちろん、路面の状況によってはタイヤチェーンの使用も検討しましょう。タイヤの状態を日常的にチェックし、必要に応じて交換やメンテナンスを行うことが大切です。車で通勤する人は、必ずスタッドレスタイヤに履き替えましょう。雪道や凍結路をノーマルタイヤで走行することは、スリップや立ち往生の原因となり、大変危険です。また、道路交通法違反にもなります。重度の積雪や凍結に備えて、タイヤチェーンも車に積んでおくとよいでしょう。
視界の確保
フロントガラスの曇りや凍結を防ぐために、エアコンで除湿したり、凍結防止タイプのウォッシャー液を使用しましょう。また、ワイパーの状態も確認し、劣化している場合は交換してください。
高齢者の安全対策
高齢者は転倒や骨折のリスクが高いため、特に注意が必要です。以下の対策を講じることで、事故の予防が可能になります。
室内環境の整備
✔️滑りやすい床には滑り止めマットを敷き、転倒を防ぐ。
✔️階段や浴室には手すりを設置し、立ち座りをサポート。
✔️夜間の移動時にはナイトライトを設置し、視界を確保。
適切な履物の選択
✔️滑りにくい靴やスリッパを使用し、安定した歩行を確保。
✔️靴底がすり減っていないか定期的にチェックし、必要に応じて交換。
適度な運動の実施
✔️筋力やバランスを維持するために、日常的に軽い運動を行う。
✔️室内で行えるストレッチや、無理のない範囲での歩行を推奨。
骨粗鬆症の動画こちら
https://www.youtube.com/watch?v=J-dNYLPjeLM
これらの対策を意識し、安全に冬を過ごしましょう。
Q&Aコーナー
Q1.「屋根の雪下ろし作業をする際の服装で気をつけることは?」
まず、防寒着はもちろんですが、動きやすさとのバランスが大切です。厚着しすぎて動きにくいと転落リスクが高まります。また、滑りにくい靴や手袋を選ぶことも重要ですね。さらに、屋根作業は高所なので、ヘルメットの着用もぜひ。
Q2.「脊椎圧迫骨折・破裂骨折とはどのような症状ですか?屋根から落ちた場合などに起こると聞きますが、具体的には?」
脊椎が大きな衝撃で潰されるように骨折した状態です。突然の激しい背中や腰の痛みが特徴で、神経を圧迫すると下肢のしびれや麻痺を引き起こす場合もあります。放置すると変形が進んだり、慢性的な痛みの原因になりかねません。
Q3.「雪の日に転倒しやすい人の特徴はありますか?また若い人でも転倒することはありますか?」
はい、もちろんです。
特に筋力が低下している方やバランス感覚が弱い方は転びやすいです。デスクワークで運動不足の若い方も油断できません。少しの段差や凍った路面で足を取られることが多いですね。
Q4.「スタッドレスタイヤでも滑った時の対処法は?雪道で滑った場合、どうすれば衝突を回避しやすいでしょうか?」
まずは慌てずにブレーキを数回に分けてかける、もしくはポンピングブレーキのイメージで減速するのが一般的です。急ハンドルは逆効果になりますから、ハンドル操作も緩やかに行うのがポイントですね。
これらの話をまとめたのがコチラ
まとめ
雪の日には、転倒や交通事故、屋根からの転落など、さまざまなリスクが潜んでいます。しかし、適切な歩行方法や装備の活用、作業時の安全対策、運転時の注意点、高齢者の安全対策を徹底することで、これらのリスクを大幅に軽減できます。日常生活の中で以下のポイントを意識し、安全な冬を過ごしましょう。
歩行時は慎重に
小股で歩き、滑り止めのついた靴を使用することで、転倒のリスクを減らしましょう。
雪かき・雪下ろしの安全対策を徹底
腰痛や転落の危険があるため、正しい姿勢を意識し、安全な作業方法を実践しましょう。
防護装備の着用を忘れずに
命綱やヘルメット、滑り止め靴を着用し、作業中の安全を確保することが重要です。
適度な休憩を取る
疲労が蓄積すると判断力が低下し、怪我のリスクが高まります。無理をせず、こまめに休憩を取りましょう。
脊椎圧迫骨折・破裂骨折に注意
屋根からの転落は重篤な怪我につながる可能性があります。安全対策を徹底し、慎重に作業しましょう。
車の運転は慎重に
速度を控えめにし、車間距離を十分に取ることで、スリップや追突事故のリスクを回避できます。
雪の日の事故や怪我を防ぐためには、日頃からの備えと慎重な行動が不可欠です。これらの対策を実践し、安全で快適な冬をお過ごしください。
参考文献・参考情報
一般社団法人日本整形外科学会
https://www.joa.or.jp/
一般社団法人日本脊椎脊髄病学会
https://www.jssr.gr.jp/
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 防災科学技術研究部門
https://www.aist.go.jp/
Centers for Disease Control and Prevention (CDC) Falls
https://www.cdc.gov/homeandrecreationalsafety/falls/index.html