膝裏の痛みの原因

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こんにちは、さくら通り整形外科クリニックの宇賀治 修平です。今回は「膝裏の痛みの原因5選」について詳しくお話ししていきます。膝裏の痛みは、誰もが一度は経験したことがあるものではないでしょうか。特に日常生活やスポーツを行う中で感じる膝の違和感や痛みは、活動の妨げになるだけでなく、日常の動作にまで影響を与える可能性があります。

膝の痛みは高齢者だけの問題ではなく、若いスポーツ選手や日常的に体を動かしている方々にも多く見られます。厚生労働省の発表によると、60歳以上で膝に痛みを抱える人はおよそ3,000万人にも上り、日本の全人口の4分の1が膝の痛みに苦しんでいる計算です。特に、年齢を重ねるごとに膝痛のリスクは高まり、40代以上の約4割が何らかの形で膝に問題を感じていると言われています。このブログを通して、膝裏の痛みの原因と治療方法をしっかり理解していただければと思います。

それでは、膝裏の痛みの原因として考えられる代表的な5つの疾患について順に見ていきましょう。

1. 変形性膝関節症

変形性膝関節症は、膝関節の軟骨が摩耗することで発生する疾患です。年齢とともに軟骨がすり減り、膝に強い負担がかかると痛みが生じます。特に、運動や日常の動作で膝を捻ったり、怪我をした場合に不適切な治療が行われると、変形性膝関節症の発症リスクが高まります。この疾患は、進行することで関節が変形し、最終的には人工関節の置換が必要となることがあります。最近では、再生医療による治療も注目されており、軟骨の再生を目指す治療法が研究されています。

2. 半月板損傷

半月板は膝の関節内にあり、膝を支えるクッションの役割を果たしています。この半月板が損傷すると、膝裏に痛みや引っかかり感が出ることがあります。長時間立ち仕事をしている方や重い物を持ち運ぶ仕事をしている方に多く見られる症状で、スポーツ選手にも頻繁に起こります。特に、年齢を重ねると半月板も劣化しやすくなり、損傷が進むことがあります。軽度の損傷であればリハビリや休息で治癒が期待できますが、損傷が大きい場合には手術が必要になることもあります。最近では、再生医療による半月板修復手術も選択肢の一つとなっています。

3. ハムストリングスの痛み

ハムストリングスは太ももの裏側にある3つの筋肉の総称です。運動後にこの筋肉が疲労し、膝裏に痛みを感じることがあります。運動不足の人が急に激しい運動をした場合や、長時間座り続けた後に体を動かすと、この部分に強い張りや痛みが出ることがあります。ハムストリングスの緊張による痛みは、ストレッチやリハビリ、休息を取ることで軽減することが一般的です。

4. ベーカー嚢胞

ベーカー嚢胞は、膝に溜まった関節液が膝裏に袋状に溜まることで発生します。これは、膝関節に炎症が起こり、その結果として液体が過剰に生成されることが原因です。ベーカー嚢胞は、変形性膝関節症や半月板損傷といった膝の疾患に関連して発生することが多く、嚢胞が大きくなると不快感や痛みを伴います。治療としては、関節液を抜いたり、ステロイド注射が行われることがあります。まれに、嚢胞が破裂して急激に痛みが強まることもありますが、自然に収まることもあります。

5. 関節炎

膝の関節炎は、膝関節の炎症によって痛みや腫れが引き起こされる状態です。関節リウマチや痛風、さらには偽痛風(痛風に似た症状を引き起こすが異なる疾患)などが原因となり得ます。関節炎の治療には、適切な運動療法や薬物治療、場合によっては関節内注射や手術が検討されます。早期に診断し、適切な治療を行うことで症状の悪化を防ぐことが可能です。

膝裏の痛みのまとめ

膝裏の痛みは、年齢や生活習慣、スポーツ活動などによって引き起こされるさまざまな原因があります。
それぞれの症状に応じた適切な治療を行うことで、膝の痛みを軽減し、快適な生活を取り戻すことができます。膝の痛みにお悩みの方は、早めに整形外科を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。
当院では、レントゲンやMRIなどの画像診断を用いて、膝の状態を詳しく調べ、最適な治療法をご提案しています。

受診前に知っておくと便利!膝の画像診断のポイント

整形外科に行くと、膝のレントゲンやMRIなどの画像検査を受けることがありますが、初めて見る方にとってはその画像を理解するのが難しいと感じることも多いです。そこで、膝の画像診断についての基礎知識をご紹介します。

レントゲン検査

レントゲンでは、大腿骨、脛骨、膝蓋骨、腓骨といった膝を構成する主要な骨を確認できます。特に、大腿骨と脛骨の間にある隙間(関節空隙)が狭くなっている場合、軟骨が摩耗している可能性が高くなります。
レントゲンは、骨の状態を把握するのに非常に有効です。

MRI検査

MRIは、骨や軟骨だけでなく、靭帯や半月板などの軟部組織の状態を詳細に確認できる検査です。特に前十字靭帯や後十字靭帯、半月板損傷の有無を確認する際に非常に役立ちます。MRIの結果をもとに、手術が必要かどうかを判断することも多いです。

まとめ

今回は、膝裏の痛みの原因5選についてお話ししました。膝の痛みは無視せず、早めに適切な対処をすることが重要です。もし膝の痛みが続く場合は、ぜひ専門医にご相談ください。当院では、膝の痛みに対する様々な治療法をご提供しています。どんな小さな症状でも、気軽にご相談いただければと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。次回も、皆さんの健康をサポートする情報をお届けしますので、どうぞお楽しみに!

この記事を執筆した人
宇賀治 修平
  • 医学博士
  • 日本整形外科学会整形外科専門医
  • 日本足の外科学会認定医
  • 日本スポーツ協会認定スポーツドクター
  • 日本骨粗鬆症学会認定医
  • 日本整形外科学会認定リハビリテーション医