マラソンで起こりやすいケガや痛みとは?よくある症状・治療・予防方法をわかりやすく解説

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理学療法士小竹 誠

こんにちは、さくら通り整形外科クリニックの理学療法士の小竹 誠です。

マラソンやランニングは、健康づくりや体力向上、ダイエットなど、さまざまな目的で楽しめる運動です。最近では、健康のために走り始める方や、フルマラソンへの挑戦を目標に練習を始める方も増えています。

一方で、走る距離が増えてくると、こんな声をよくうかがいます。

膝の外側が痛くなってきたすねがズキズキする朝起きたときに、かかとが痛い走った後にアキレス腱が痛む

今回は、マラソンやランニングで起こりやすいケガや痛みについて、
① よくある症状
② 治療
③ 予防
この3つに分けて、わかりやすく解説します。

河川敷を走るランナー(イメージ)
※ 写真はイメージです

ランニングは、同じ動きを何度も繰り返す運動です。1回1回の着地でかかる負担はそれほど大きくなくても、それが何千回、何万回と繰り返されることで、膝や足、筋肉、腱、骨などに少しずつ疲れがたまっていきます。

とくに次のような方は注意が必要です。

  • 大会が近いから、急に走る距離を増やした
  • 運動不足だったけれど、突然毎日走り始めた
  • 痛みがあるけれど、我慢して走り続けている

① マラソンでよくあるケガや痛み

ランニングでは、膝だけでなく、すね、足首、アキレス腱、かかとなど、さまざまな場所に痛みが起こります。とくに多いものを、順番にご紹介します。

脚を横から見た模式図。膝の外側、膝のお皿の周り、すねの内側、アキレス腱、かかとと足の裏、足の甲と足首という6か所の、ランニングで痛みが出やすい場所

※ 痛みが出やすい場所をわかりやすく示した模式図です。実際の症状や場所は方によって異なります。

① 膝の外側が痛くなる「ランナー膝」

ランニングをする方に多いのが、膝の外側に痛みが出る症状です。一般的に「ランナー膝」と呼ばれることがあります。

太ももの外側には、骨盤から膝の外側まで続く丈夫な組織があります。走るときには膝を何度も曲げたり伸ばしたりするため、その動きの繰り返しで膝の外側に負担がたまり、痛みが出てくることがあります。

  • 膝の外側が痛い
  • 最初は痛くないが、数km走ると痛くなる
  • 下り坂を走ると痛みやすい
  • 階段を下りると痛い
  • 走った後に膝の外側がズキズキする

最初は「少し気になる程度」でも、そのまま走り続けると、だんだん短い距離でも痛みが出るようになることがあります。

原因は走りすぎだけではありません。お尻の筋力が弱い、股関節がうまく使えていない、足の着き方にクセがある、シューズが合っていないなど、いくつかの原因が重なって起こることもあります。

② 膝のお皿の周りが痛い

「膝のお皿の周りが痛い」という症状も、ランナーによくみられます。走っているときだけでなく、次のような動作で痛みが出ることがあります。

  • 階段を下りる
  • しゃがむ
  • 椅子から立ち上がる
  • 長時間座った後に動き始める

この場合、痛みが出ているのは膝ですが、原因が膝だけにあるとは限りません。お尻や太ももの筋力が弱かったり、着地するときに膝が内側に入りやすかったりすると、膝に余計な負担がかかることがあります。

そのため、膝だけを見るのではなく、股関節や足首、足の形なども含めて確認することが大切です。

③ すねの内側が痛くなる「シンスプリント」

走り始めたばかりの方や、急に練習量を増やした方に多いのが、「シンスプリント」と呼ばれるすねの痛みです。すねの内側から下の方にかけて痛みが出ることが多くみられます。

  • 走り始めに痛い
  • 走った後に痛い
  • すねを押すと痛い
  • 練習量を増やしてから痛くなった

最初のうちは「走り始めだけ痛いけれど、身体が温まると楽になる」ということもあります。しかし、そのまま無理に走り続けると、走っている間ずっと痛かったり、歩いているだけでも痛くなったりする場合があります。

また、すねの痛みの中には「疲労骨折」が隠れていることもあります。単なる走りすぎと思っていたら、実際には骨に負担がかかっていたということもあるため、痛みが続く場合には注意が必要です。

④ アキレス腱の痛み

アキレス腱は、ふくらはぎの筋肉とかかとの骨をつないでいる部分です。歩いたり走ったり、地面を蹴ったりするときに大きな力がかかります。ランニングを繰り返すことで、この部分に負担がたまることがあります。

  • アキレス腱を押すと痛い
  • 朝起きて歩き始めると痛い
  • 走り始めに痛い
  • 走った翌日に痛みが強くなる
  • アキレス腱の周りが腫れている

「走っているうちに痛みが減るから大丈夫」と考えてしまう方もいますが、痛みがある状態で無理を続けると長引くことがあります。

とくに大会前は「休みたくない」という気持ちから走り続けてしまいがちですが、早めに負担を減らした方が、結果的に早く復帰できることもあります。

⑤ かかとや足の裏が痛い「足底腱膜炎」

朝起きて最初の一歩を踏み出したときに「かかとがズキッと痛い」という場合には、足の裏にある組織に負担がかかっている可能性があります。これを「足底腱膜炎(そくていけんまくえん)」といいます。

足の裏には、かかとから足の指の付け根に向かって、足を支える丈夫な膜のような組織があります。走るたびに足の裏には衝撃が加わるため、走りすぎや足の硬さ、足の形などによって痛みが起こることがあります。

  • 朝の一歩目が痛い
  • 座った後に歩き始めると痛い
  • かかとを押すと痛い
  • 長い距離を走った後に痛い
  • 足の裏が張っている感じがする

⑥ 骨に負担がたまる「疲労骨折」

ランナーにとってとくに注意したいのが「疲労骨折」です。

普通の骨折は、転倒や衝突など一度の大きな力によって起こります。一方、疲労骨折は小さな負担が何度も同じ骨にかかることで起こります。いわば、骨に疲れがたまり続けて起こる骨折です。ランニングでは、すねや足の甲の骨などに起こることがあります。

  • 痛む場所がはっきりしている
  • 骨の一部分だけを押すと強く痛い
  • 走ると毎回同じ場所が痛い
  • だんだん痛みが強くなっている
  • 最近走る距離を急に増やした
疲労骨折は、初期にはレントゲンでわからないこともあります。症状によってはMRIなどの詳しい検査が必要になることもあるため、痛みが続く場合は無理をしないことが大切です。

⑦ 足首や足の甲の痛み

ランニングでは、足首や足の甲にも負担がかかります。「足首が痛い」「足の甲が痛い」という症状でも、原因はさまざまです。筋肉や腱が炎症を起こしている場合もあれば、骨に負担がかかっていることもあります。

とくに、腫れがある/押すと強く痛い/歩いても痛い/数日休んでも改善しないという場合には、早めの受診をおすすめします。

② マラソンで痛みが出たときの治療

ランニングによる痛みの治療では、ただ痛みを取るだけでなく、「なぜその場所に負担がかかったのか」を考えることが大切です。同じ膝の痛みでも、原因は人によって違います。

① まず原因を確認します

整形外科では、まず次のようなことを確認します。

  • いつから痛いのか
  • どの場所が痛いのか
  • 何kmくらい走ると痛くなるのか
  • 最近、走る距離を増やしていないか
  • 週に何回走っているか
  • 普段どのような靴を履いているか
  • 歩いても痛いか/腫れがあるか

その後、実際に痛い場所を触ったり、膝や足首の動き、筋力などを確認します。必要に応じて、レントゲンや超音波検査、MRIなどを行うこともあります。とくに疲労骨折など骨の異常が疑われる場合は、早めに原因を確認することが重要です。

診察室で症状について確認している様子

② 走る量を調整します

ランニングによる痛みの多くは、身体が耐えられる以上の負担がかかることで起こります。そのため治療では、まず走る量を見直します。

ただし、「痛みがある=すべての人が長期間走ってはいけない」というわけではありません。

状態によって、負担の調整方法は異なります。

  • 数日間ランニングを休む
  • 走る距離を減らす
  • スピードを落とす
  • 坂道練習をやめる
  • ジョギングだけにする
  • 自転車など別の運動に切り替える

完全に休む必要があるのか、少し運動を続けてもよいのかは、症状によって判断することが大切です。

③ 痛みや炎症を抑える

痛みが強い時期には、湿布、塗り薬、痛み止め、アイシング、電気などを使った治療を行うことがあります。

ただし、痛み止めを使って「痛くなくなったから走る」というのは注意が必要です。痛み止めは、身体にかかっている負担そのものをなくす薬ではありません。痛みを隠して無理をすると、悪化してしまうこともあります。

④ リハビリで身体の使い方を整える

ランニング障害では、リハビリもとても大切です。例えば膝が痛い方の場合でも、「膝だけを治療する」とは限りません。お尻、股関節、太もも、ふくらはぎ、足首など、身体全体の動きを確認します。

  • お尻の筋肉を鍛える
  • 太ももの筋力をつける
  • ふくらはぎを鍛える
  • 足首を動きやすくする
  • 股関節の硬さを改善する
  • バランスを良くする

身体を支える筋肉をしっかり使えるようになることで、一部分に負担が集中しにくくなります。

⑤ 走り方も確認します

痛みの原因が、走り方に隠れていることもあります。

  • 着地したときに膝が内側に入る
  • 身体が左右に大きく揺れる
  • 歩幅が大きすぎる
  • 足を前方に強く出して着地している

このようなクセによって、膝や足への負担が増える場合があります。スクワットや片足立ちなどの動きを確認しながら、身体の使い方を整えていきます。

⑥ 少しずつランニングに戻します

痛みが軽くなったからといって、すぐに以前と同じ距離を走るのはおすすめできません。身体は痛みがなくなっても、まだ十分に負担へ対応できる状態まで戻っていないことがあります。

STEP 1

ウォーキング

まずは歩いて、痛みが出ないことを確かめます。

STEP 2

短い時間のジョギング

時間を区切って、ゆっくり走ってみます。

STEP 3

少しずつ距離を伸ばす

翌日に痛みが残らない範囲で伸ばしていきます。

STEP 4

ペースを上げる

距離が戻ってから、速さを戻していきます。

STEP 5

通常の練習に戻す

坂道やスピード練習は最後に加えます。

「1週間休んだから、今日は10km走ろう」という戻し方では、再び痛くなることがあります。

③ マラソンでのケガや痛みを予防する方法

ランニングによる痛みを完全にゼロにすることは難しいですが、普段の練習方法を少し工夫するだけでも予防につながります。

01

急に走る距離を増やさない

息が苦しくなくても、筋肉や骨、腱には疲れがたまっていることがあります。身体は少しずつ負荷に慣れていきます。焦らず段階的に増やしましょう。

02

休む日をつくる

身体は走った後に休むことで回復します。疲れが残った状態で毎日走り続けると、膝や足に負担がたまりやすくなります。

03

筋力トレーニングも取り入れる

お尻、太もも、ふくらはぎ、お腹や背中を鍛えておくと、走っているときに身体を安定させやすくなります。

04

身体の硬さをそのままにしない

ふくらはぎ、太ももの前後、お尻、股関節は、日頃から軽くストレッチを。「少し伸びて気持ちよい」程度で十分です。

05

自分に合ったシューズを選ぶ

人気や有名選手が履いているかではなく、自分の足・ペース・距離に合っているかで選びましょう。靴底がすり減っていたら買い替えを。

06

坂道や硬い道路ばかりを走らない

道路には傾きがあることがあり、毎回同じ方向だと片方の足に負担が偏ります。下り坂は膝への負担が増えやすくなります。

壁に手をついてふくらはぎを伸ばすストレッチを行っている様子(イメージ)
※ 写真はイメージです

⑦ 痛みを我慢して走り続けない

ランニングをしていれば、多少の筋肉痛や疲れを感じることはあります。ただし、「毎回、同じ場所が痛くなる」場合は注意が必要です。

次のような症状があるときは、無理に走り続けないようにしましょう。

  • 日に日に痛みが強くなっている
  • 一部分を押すと強く痛い
  • 腫れている
  • 歩いても痛い
  • 夜も痛い
  • 何日か休んでも良くならない

「大会が近いから」「せっかく練習してきたから」と我慢した結果、長期間走れなくなってしまうこともあります。

こんな症状がある方は、一度整形外科へ

次のような症状がある場合は、単なる筋肉痛ではない可能性があります。

  • 数日休んでも痛みが改善しない
  • 走るたびに同じ場所が痛い
  • どんどん痛みが強くなっている
  • 腫れがある
  • 歩くだけでも痛い
  • 骨の一部分を押すと強く痛い
  • 夜間や安静時にも痛みがある

とくに、すねや足の甲の一部分に強い痛みがある場合は、疲労骨折などが隠れていることもあります。早めに原因を確認することで、結果的に早くランニングへ復帰できることもあります。

理学療法士による運動療法の様子

まとめ

マラソンやランニングは、健康づくりにもおすすめの運動です。一方で、同じ動作を何度も繰り返すため、膝やすね、アキレス腱、かかとなどに負担がたまりやすいスポーツでもあります。

予防のために大切なこと

  • 急に走りすぎないこと
  • 休む日をつくること
  • 筋力や柔軟性を整えること
  • 自分に合ったシューズを選ぶこと
  • 痛みを我慢して走り続けないこと

マラソンでは、大会を完走することや自己ベストを出すことも大切な目標です。しかし最も大切なのは、その大会だけで終わるのではなく、これから先も長く楽しく走り続けることです。

「走ると膝が痛い」
その痛み、我慢していませんか?

すねの痛みがなかなか良くならない、大会が近いので走ってもよいか知りたい。
そんなときは、一度ご相談ください。身体の状態を確認し、
お一人ずつに合った治療とリハビリをご提案します。

WEBで予約する お電話:0776-58-7138(木・土は午前のみ/日曜・祝日休診)

本記事は、マラソン・ランニングで起こりやすいケガや痛みについて一般的な情報をお伝えするものです。症状のあらわれ方や経過には個人差があり、記載の内容がすべての方に当てはまるものではありません。診断・治療方針、運動の可否や再開時期は、診察・検査のうえで医師および理学療法士が判断します。痛みが続く場合は自己判断せず、医療機関にご相談ください。

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