第2回 アキュリアンで考える膝痛治療

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膝が痛いから動かない、動かないから弱くなる|アキュリアンで考える膝痛治療

歩き始めに膝が痛い。 階段の上り下りがつらい。 椅子から立ち上がる時に、思わず膝をかばってしまう。 そんな膝の痛みを「年齢のせい」「少し休めば大丈夫」と我慢していませんか?

膝の痛みは、痛みそのものだけでなく、「動く量が減ること」によって生活全体に影響することがあります。

膝が痛いと、歩く距離が短くなったり、外出を控えたり、階段を避けるようになったりします。 その結果、太ももの筋力が落ちやすくなり、さらに膝に負担がかかるという悪循環につながることがあります。

シリーズ 「痛みを我慢しない身体づくり」 第2回では、膝の痛みと、痛みを軽減して再び動きやすい状態を目指す治療のひとつである アキュリアン についてご紹介します。


膝が痛いと、なぜ動きにくくなるの?

膝は、歩く、立つ、しゃがむ、階段を上るなど、日常生活の多くの動きに関わる関節です。 そのため、膝に痛みがあると、生活の中で自然と動きを制限してしまうことがあります。

たとえば、近くの買い物でも車を使う。 階段ではなくエレベーターを選ぶ。 散歩をやめる。 しゃがむ動作を避ける。 このような小さな変化が続くと、身体を動かす機会が少しずつ減っていきます。

膝の痛みで動かなくなると、太ももの筋力が低下しやすくなります。 太ももの筋肉は膝を支える大切な役割があるため、筋力が落ちると膝への負担がさらに増えることがあります。

つまり、膝痛では 「痛いから動かない」→「動かないから筋力が落ちる」→「筋力が落ちるから膝に負担がかかる」 という流れが起こりやすくなります。

もちろん、強い痛みがある時に無理をして動く必要はありません。 大切なのは、痛みを我慢し続けるのではなく、症状に合った方法で痛みを軽減し、少しずつ動きやすい状態を目指すことです。


アキュリアンとはどんな治療?

アキュリアンは、膝の痛みに関係する神経へ働きかける治療です。 膝の周囲には、痛みの信号を脳へ伝える神経があります。 アキュリアンでは、その痛みに関係する神経を対象にして、膝の痛みを軽減し、日常生活やリハビリに取り組みやすい状態を目指します。

アキュリアンは、膝の痛みを軽減するための選択肢のひとつですが、すべての膝痛に適しているわけではありません。治療が合うかどうかは、医師の診察で判断することが大切です。

膝の痛みの原因は人によって異なります。 軟骨のすり減り、筋力低下、炎症、歩き方、体重、生活習慣など、さまざまな要素が関係していることがあります。

そのため、アキュリアンだけで膝痛のすべてを解決するというよりも、痛みを軽減し、リハビリや日常動作に取り組みやすくするための治療 と考えることが大切です。


アキュリアンを相談しやすい膝の症状

膝の痛みが長く続いている方や、痛みのために活動量が落ちている方は、治療の選択肢について相談するきっかけになります。

・歩き始めに膝が痛い
・階段の上り下りがつらい
・椅子から立ち上がる時に膝が痛い
・膝の痛みで散歩や運動を控えている
・痛み止めや注射だけでは不安が残る
・手術以外の方法も相談したい
・痛みを軽くしてリハビリに取り組みたい
・できるだけ自分の足で歩き続けたい

ただし、膝が大きく腫れている、熱を持っている、急に強い痛みが出た、転倒後から痛みがある、歩けないほど痛いといった場合は、まず原因を確認することが大切です。

膝の痛みは、原因によって適した対応が異なります。自己判断で様子を見すぎず、症状が続く場合は医療機関へ相談しましょう。


痛みを軽減する目的は、再び動くための準備です

膝痛治療で大切なのは、痛みだけを見るのではなく、その後の生活を見据えることです。 痛みが軽くなることで、歩きやすくなる。 立ち上がりが楽になる。 リハビリに取り組みやすくなる。 外出への不安が少なくなる。 こうした変化は、日常生活に大きく関わります。

アキュリアンの目的は、治療を受けて終わりではなく、膝の痛みを軽減し、再び歩く・動く・リハビリに取り組むためのきっかけを作ることです。

膝の痛みがあると、どうしても「痛くないように動く」ことを優先してしまいます。 しかし、かばう動きが長く続くと、反対側の膝、股関節、腰などに負担が広がることがあります。

膝の痛みを軽減しながら、少しずつ身体を使いやすい状態に戻していくことが、これからの生活を守るうえで大切です。


治療後も大切なこと

膝痛の治療では、痛みを軽減することと同じくらい、治療後の過ごし方も重要です。 痛みが軽くなったからといって、急に動きすぎると膝に負担がかかることがあります。 反対に、痛みが少し楽になっても動かないままでいると、筋力低下が進みやすくなります。

・太ももの筋力を保つ運動
・膝に負担をかけにくい歩き方
・体重管理
・無理のない範囲での活動量の維持
・生活動作の見直し
・必要に応じたリハビリテーション

大切なのは、痛みの状態に合わせて、少しずつ身体を使っていくことです。 治療によって痛みが軽減した場合でも、膝を支える筋力や歩き方の見直しを続けることで、より生活しやすい状態を目指しやすくなります。

膝痛治療は「痛みを取ること」だけではなく、「痛みを減らして、また動ける身体をつくること」が大切です。


膝だけでなく、身体全体を見ていくことが大切です

膝が痛い時、痛みの場所は膝でも、原因や影響は膝だけに限らないことがあります。 足首の硬さ、股関節の動き、体幹の筋力、靴の状態、歩き方のクセなどが関係している場合もあります。

また、足先の痛みが原因で、膝に負担がかかっていることもあります。 たとえば巻き爪で足の指が痛いと、つま先に体重をかけにくくなり、足の外側やかかとに体重を逃がして歩くことがあります。 そのような歩き方が続くと、膝や腰に負担が広がることがあります。

膝痛を考える時は、膝だけを見るのではなく、歩き方や身体の使い方、足元の状態も一緒に見直すことが大切です。

 

QandAコーナー

患者さん
アキュリアンはどのような治療ですか?
院長
アキュリアンは、膝の痛みに関係する神経へ働きかける治療です。膝の痛みを軽減し、リハビリや日常生活の動きに取り組みやすい状態を目指す治療の選択肢のひとつです。

 

患者さん
膝の痛みなら誰でも受けられますか?
院長
すべての膝痛に適しているわけではありません。膝の痛みの原因や状態によって、注射、薬、リハビリ、手術など、適した治療は異なります。まずは診察で膝の状態を確認することが大切です。

 

患者さん
アキュリアンを受けたらリハビリは不要ですか?
院長
治療後もリハビリや運動が大切になることがあります。痛みを軽減して終わりではなく、太ももの筋力、歩き方、生活動作を見直しながら、再び動ける状態を目指すことが大切です。

 

患者さん
膝が痛い時は安静にした方がいいですか?
院長
強い痛みや腫れがある時は無理をしないことが大切です。ただし、痛いからといって長期間まったく動かない状態が続くと、筋力が低下しやすくなります。症状に合わせて、どの程度動いてよいか相談しましょう。

 

患者さん
痛みが軽くなったら、すぐ運動してもいいですか?
院長
急に運動量を増やすと、膝に負担がかかることがあります。痛みの状態を見ながら、リハビリや軽い運動から段階的に進めることが大切です。無理のないペースで動ける身体を目指しましょう。

 

患者さん
膝以外の痛みも関係しますか?
院長
関係することがあります。足の指、足首、股関節、腰などの痛みをかばって歩くことで、膝に負担がかかる場合があります。膝だけでなく、身体全体の使い方を見ていくことが大切です。

関連記事

膝の痛みは、慢性的な痛みの一部として考えることもできます。 また、足先の痛みや歩き方の変化が膝に影響することもあるため、関連する記事もあわせて読むと理解しやすくなります。

関連記事:
・「慢性的な痛みを『いつものこと』で終わらせないために|ヘルストロンという選択肢」
・「小さな爪の痛みが膝や腰にも影響する?巻き爪と歩き方の関係」

肩、腰、膝などの痛みが続くと、活動量が低下し、身体のこわばりにつながることがあります。 第1回では、慢性的な痛みやこわばりに対するケアのひとつとして、ヘルストロンについてご紹介しています。

また、足の指の痛みをかばって歩くことで、膝や腰に負担がかかることもあります。 第3回では、巻き爪と歩き方の関係について詳しくご紹介します。


さいごに:膝の痛みを我慢しすぎないために

膝の痛みは、日常生活の動きに大きく関わります。 歩く、立つ、階段を上るといった何気ない動作がつらくなると、活動量が減り、筋力低下や身体のこわばりにつながることがあります。

アキュリアンは、膝周囲の痛みに関係する神経へ働きかけ、痛みを軽減し、リハビリや日常生活に取り組みやすい状態を目指す治療の選択肢のひとつです。 ただし、すべての膝痛に適しているわけではなく、症状や原因に応じた診察が必要です。

膝の痛みは、身体からのサインです。 我慢して動かなくなる前に、症状に合った方法で早めに対応することが、これからも自分らしく歩き続けるための一歩になります。

膝の痛みが続いている方、痛みのために歩く量や外出の機会が減っている方は、一度医療機関へ相談してみてください。

さくら通り整形外科クリニックでは、膝の痛みだけでなく、歩き方や筋力、生活の中で困っている動作も確認しながら、患者さんに合った対応を考えていきます。膝の痛みでお困りの方は、お気軽にご相談ください。
この記事を執筆した人
宇賀治 修平
  • 医学博士
  • 日本整形外科学会整形外科専門医
  • 日本足の外科学会認定医
  • 日本スポーツ協会認定スポーツドクター
  • 日本骨粗鬆症学会認定医
  • 日本整形外科学会認定リハビリテーション医