ヒアルロン酸注射が効かなくなってきたひざへ ― 注射とラジオ波治療は何が違うのか

痛み
保険診療ヒアルロン酸注射ひざのラジオ波治療

「最初は効いていたヒアルロン酸注射が、だんだん効かなくなってきた」

「注射の間隔が短くなってきた」

「打った日は楽だが、数日でもとに戻る」

ひざの痛みで通院されている方から、よくうかがうお話です。

このページでは、ヒアルロン酸注射とラジオ波治療(末梢神経ラジオ波焼灼療法)が、そもそも何を目的とした治療なのかを整理します。どちらが優れているという話ではなく、働きかける対象が違う治療だとご理解いただくのが近道です。

クリニックの待合室で、ひざに手を置いて座っている様子(イメージ)
※ 写真はイメージです

この記事でわかること

  • ヒアルロン酸注射とラジオ波治療は、どこが違うのか
  • なぜ注射の効きが悪くなってくることがあるのか
  • 切り替えを検討する目安と、併用できるのかどうか
  • ラジオ波治療を受けるための条件と、費用の目安

働きかける場所が違う

ヒアルロン酸注射 ラジオ波治療
働きかける場所 ひざ関節の内部 痛みを伝える神経
目的 関節の潤滑・炎症の緩和 痛みの伝わり方を弱める
方法 関節内に薬剤を注射 超音波で神経を確認し高周波で熱を加える
通院 週1回〜数週に1回を繰り返す 1回の処置
麻酔 不要 局所麻酔
保険 適用 適用(2023年6月〜・条件あり)
ヒアルロン酸注射とラジオ波治療が働きかける場所を左右で比較した図。左は関節の内部へ薬剤を注射し、右は関節の外を走る神経に電極を近づけている
左は関節の内部、右は関節の外を走る神経。働きかける場所が違います

ヒアルロン酸は、関節の中の環境に働きかけます。関節液の成分を補い、動きをなめらかにし、炎症を抑える方向に作用します。

ラジオ波治療は、関節の外を走っている神経に働きかけます。痛みの信号が脳へ伝わる経路そのものを弱めます。

同じ「ひざの痛みの治療」でも、狙っている場所がまったく別です。

ここを混同したまま比べると、「どちらがよく効くか」という問いの立て方自体がずれてしまいます。

なぜ効きが悪くなってくるのか

ヒアルロン酸注射の効果は、関節の状態によって変わります。変形が進み、軟骨のすり減りや炎症の程度が変化してくると、同じ薬を入れても得られる効果が以前と同じにならないことがあります。

もうひとつの要因として、痛みの原因が関節の内部だけではなくなっている場合があります。長く痛みが続くと、痛みを伝える神経そのものが過敏になっていくことがあります。この状態では、関節内に薬を入れても、神経側の問題は変わりません。

誤解のないようにこれはヒアルロン酸注射が悪い治療だという意味ではありません。効果が出ている段階では、続ける価値のある治療です。

問題は、効きが悪くなってきたあとに何もしないまま注射を続けてしまうことです。2週間に1回の通院を1年続ければ、それだけで年間20回を超える来院になります。時間と交通の負担だけが残り、痛みは変わらないという状態が長引きます。

切り替えを検討する目安

次のような状態が続いている場合は、一度ご相談ください。

  • 注射をしても効果を感じる期間が、はっきり短くなってきた
  • 注射をした直後しか楽にならない
  • 内服薬とリハビリも続けているが、日常生活の痛みが変わらない
  • 階段の上り下りや歩行の距離が、以前より明らかに制限されている
  • 痛みで夜中に目が覚めることがある
  • 外出や旅行を、痛みを理由に控えるようになった

「何回打ったら切り替え」という決まった回数はありません。回数ではなく、生活の中での痛みが変わっているかどうかが判断材料になります。

診察では、痛みの点数だけでなく「以前はできていて、今できなくなったこと」をうかがいます。買い物、階段、正座、草取り、孫の送り迎え。生活動作の変化のほうが、状態を正確に表すことが多いためです。

併用はできるのか

ラジオ波治療を受けたあとにヒアルロン酸注射をやめなければならない、というものではありません。それぞれ働きかける場所が違うため、経過を見ながら組み合わせることもあります。

また、ラジオ波治療で痛みが軽くなった時期は、リハビリテーションを進めやすいタイミングでもあります。痛みで動かせなかった時期に落ちた筋力を戻す、動きの制限を改善する。ここに取り組めるかどうかで、その後の経過は変わります。

当院には理学療法士が11名在籍しており、治療後のリハビリまで院内で継続できる体制をとっています。

具体的にどう組み合わせるかは、ひざの状態と治療後の経過によって変わります。診察の際にご説明します。

ラジオ波治療を受けるための条件

ラジオ波治療は保険適用ですが、条件があります。

  • 変形性膝関節症による慢性的な痛みがあること
  • 手術の対象とならない、または手術を選択しない事情があること
  • 保存療法をすでに受けていて、痛みが十分に取れていないこと

逆に言えば、ヒアルロン酸注射をはじめとする保存療法を続けてきた方は、条件を満たしやすい立場にあります。

一方で、まだ注射を数回しか受けていない、リハビリを受けたことがないという段階であれば、先にそちらを整えることになります。

対象になるかどうかは、診察と画像評価で判断します。当院ではMRIを院内に設置しているため、軟骨・半月板・骨の状態の評価を院内で完結できます。

治療前に行う効果測定テストなど、治療の進め方はひざラジオ波治療のページでご案内しています。保険適用の条件をくわしく知りたい方は「ひざのラジオ波治療が保険適用になる条件」もあわせてご覧ください。

知っておいていただきたい限界

この治療でできないことラジオ波治療は、次の点をご理解いただいたうえで検討する治療です。
  • 痛みがゼロになる治療ではありません
  • 効果には個人差があり、十分な効果が得られない場合もあります
  • 神経は時間とともに回復するため、痛みが再び出てくることがあります
  • すり減った軟骨が元に戻る治療ではありません
  • 針を刺す処置のため、内出血・しびれ・感染などのリスクがあります

副作用・リスクについては、診察時に詳しくご説明します。治療の内容や流れは、ひざラジオ波治療のページをご覧ください。

痛みを我慢し続けることで起こること

ひざの痛みが長く続くと、痛みそのもの以外の影響が出てきます。

  • 痛みを避けるために動かなくなり、ひざを支える筋力が落ちる
  • 外出の機会が減り、日常の活動量そのものが減っていく
  • 活動量が減ることで体重が増え、ひざへの負担がさらに大きくなる
  • 痛みで眠りが浅くなり、日中の疲れが取れにくくなる
  • 転倒への不安から、さらに動かなくなる
痛みで動かなくなり、筋力が落ち、ひざが不安定になって痛みがさらに出る、という悪循環を示した図
この循環に入ると、痛みの治療だけでは元の生活動作に戻しにくくなります

筋力が落ちればひざは不安定になり、痛みはさらに出やすくなります。この循環に入ってしまうと、痛みの治療だけでは元の生活動作に戻しにくくなります。

「まだ我慢できるから」と先延ばしにすることが、必ずしも安全な選択とは限りません。注射の効きが変わってきた段階は、次を考える適切なタイミングのひとつです。

念のためご相談いただいた結果、「今の治療を続けるのが妥当」という結論になることもあります。その場合でも、現在の状態を一度きちんと評価しておく意味はあります。

ご相談にあたってお持ちいただくもの

  • 健康保険証(マイナ保険証)
  • お薬手帳
  • 紹介状(お持ちの場合)
  • 他院で撮影した画像データ(CD-Rなど)

これまでの治療の経過がわかるものがあると、評価の精度が上がります。特に「いつから注射を始めて、どのくらいの間隔で受けてきたか」は重要な情報です。覚えている範囲でかまいませんので、お聞かせください。

よくあるご質問

患者さん(中高年の女性・イメージ)

患者さん今受けている注射を中断する必要はありますか?

院長

院長ご相談の段階では、中断していただく必要はありません。現在の治療を続けながら評価できます。

患者さん(中高年の女性・イメージ)

患者さん他院で注射を受けていますが、相談だけでもできますか?

院長

院長できます。お薬手帳、紹介状、画像データをお持ちいただけると、評価がより正確になります。

患者さん(中高年の女性・イメージ)

患者さん注射が効いている場合は、どうすればよいですか?

院長

院長効果が出ているのであれば、その治療を続ける理由があります。無理に切り替える必要はありません。

費用の目安

ラジオ波治療は保険診療となります。治療の費用は、次のとおりです。

1割負担の方 約15,000円
3割負担の方 約45,000円

※ 別途、初診料・再診料・画像検査の費用などがかかります。
※ 高額療養費制度の対象になる場合があります。詳しくは窓口でおたずねください。

まずは今の状態を評価するところから

注射の効きが変わってきたということは、ひざの状態が変化しているサインかもしれません。次の一手を考える前に、まず今のひざがどうなっているかを確認しましょう。

診察室で、医師が患者にひざの状態を説明している様子(イメージ)
※ 写真はイメージです

ヒアルロン酸注射の効きが、以前と変わってきた方へ

現在の治療を続けながら、ご相談いただけます。